記事をメール配信いたします
 

見えない軍隊とその戦場 4 No.462004年9月13日

■ひとりの勝者が世界を占領する時代

いま世界で民主主義が崩壊し始めている。もちろん民主主義がいつの時代も幻想であったことはまちがいないのだが、これほど剥き出しに、その「化粧」に対して無神経になった時代はないように感じるのだ。アメリカや日本で露骨に民主主義が否定され、世界の1%の「お金持ちの正義」のために、政治がエゴイスティックに動きはじめているようだ。

ブッシュ政権の 単独行動主義(ユニラテラリズム) による、イラク先制攻撃や京都議定書破棄や日本の憲法九条改正圧力がそうであり、小泉純一郎による、意味のよくわからないサマワへの自衛隊派遣や「小泉構造改革」がそうである。ハルマゲドンを純粋に信じる善良なキリスト教原理主義を取り込んだブッシュが、イラク先制攻撃と占領のために、15万人もの軍隊を駐留させることを国民に認めさせることに成功した。

その一方で日本の小泉首相は、自民党をぶっ壊すという怒りのポーズで、アホでマヌケな私たち国民を魅了し、世界の1%のお金持ちである国際金融勢力のための「構造改革」を、さも国民のためであるかのように見せかけることで、その天才的な手腕を発揮した。国民の愚かな熱い期待に反して、その当然の成り行きとして日本的システムは残酷なまでに破壊されて、数え切れない中小企業をみごとに倒産に追い込んだ。そして誰も文句のつけられない不良債権処理を錦の旗に上げることで、日本のほとんどの銀行や優良企業を、国際金融資本に乗っ取らせることに成功したわけである。

アメリカと日本の、何も知らない純粋なアホで、マヌケな私たち国民が好きなように煙幕をはられ利用されて、容赦なく見捨てられようとしているのである。ほんとうに恐ろしいくらい弱肉強食の世界へ移行しつつある。小泉首相が「構造改革」の名のもとにやろうとしていることは、以前の No.38のコラム でも触れたように、まさにこの詐欺手法である。これらの電力自由化物語によって日本人の私たちにも、グローバルな詐欺手法がいくらか見えてきたはずである。

公的なインフラが、国際金融勢力の手に渡ってしまうと、最初は便利で安いと思っていたはずの料金が、最終的にはカリフォルニアの電力マフィアのように、100倍ものとほうもない価格になってしまう可能性が高いのである。カリフォルニアのもっとも暑い日に、電力マフィアは意図的に停電させ、公的なインフラである電力制度を人質にして、好きなように値をつけ、勝手な価格で電力を売るようになってしまったのである。

大手メディアや御用学者等によって「公的機関の民営化」や「小さな政府」への流れは、とても良いことのように語られているが、ほんとうはとても危険なことなのだ。もちろん「郵政民営化」にしても、巷の民間銀行がペイオフやら倒産やらで何とも不安で仕方がないから、政府保証のある郵便貯金と簡易保険に、リスクを嫌う国民のお金が待避場所として逃げ込んできているのが現実なのに、そのせっかくの退避場所を、私たち国民からまたしても失くそうとしているのである。つまり私たち国民は、政府が何をやろうとしているのか、薄々気が付きはじめているのである。

そんなわけで、いまや郵便貯金と簡易保険の合計がなんと350兆円にもなっているのである。私たち国民には、何のための郵政3事業民営化なのかは当然のごとく語られないまま、ヘッジファンド等の国際金融勢力の意向に忠実な竹中平蔵金融担当大臣は、とにかく民営化することで、国の管理である総務省の管理から外そうとたくらんでいるのである。そうなってしまえば、竹中金融担当大臣の所属する金融庁の管理下に、350兆円もの私たち国民の虎の子のお金が、自動的に転がり込んでくることになる。

これまで何度も言っているように、竹中平蔵大臣の行動から察するに国際金融勢力の手先としか思えないのだ。幾つかの情報筋によれば、どうやらモルガン・スタンレーのレポーター、たどたどしい日本語で時々テレビに出ているカマキリのような風貌のあのロバート・フェルドマンが、どうやら竹中平蔵にそのつどシナリオを書いて、演技指導してやっているらしい。日本の政治家の多くは、なぜか自分で自分のセリフは考えない習慣になっているようである。

私たち国民の汗の結晶である350兆円ものお金が、国の管理から離れて、国際金融資本という弱肉強食の涎を垂らした獣の目の前に、無造作に投げ出されてしまうのだ。これらの大金が民間の株式会社の管理下に入ってしまえば、貪欲な狼のような外資に、あっという間にバーゲンセールされてしまうかもしれないのだ。そして金融庁の官僚にしてみれば、自分たちの天下り先ができるわけだから、たいした抵抗もしないのかもしれない。

「民営化」、「規制緩和」、「市場経済」、「小さな政府」等の聞こえのいい構造改革の仕組みは、すべて一握りのグローバリストという詐欺師たちが、世界から欲しい物を奪うための法に触れないソフトパワー戦略なのである。近い将来「電気料金」や「水道料金」や「通信料金」等がほんの一握りの彼らの手に渡って好きな値段をつけられるようになってしまったら、それこそ「目に見えない占領」であり、それこそアメリカの「51番目の州」とか「属国」なんて生易しいものなんかじゃなくて、「目に見える占領」であるアブグレイブ刑務所の虐待に象徴される「奴隷国家」になってしまうことである。

■ヤフーのADSL戦略の過激な宣伝攻勢

いまや地方のNTTは、ほとんど解体されて、かつての面影は無いに等しい状況である。私の会社に、いつも何やかやと出入りしてくれて、コンピューターのセッティングからインターネットはもちろん、携帯電話やビジネス電話からLANのネットワークに至るまできめ細かくサポートしてくれたNTTの担当員は、いまやリストラから生き残るために、とんでもなく遠くの地域に飛ばされてしまっている。そして地元の市には、ほんの暫くのあいだに営業マンはひとりもいなくなってしまったのだ。ほんとうに見るも無残な信じられない光景である。

NTTの次世代の光ケーブルの波及を阻止するために、「規制緩和」を旗印にしたアメリカ資本の尖兵役をになったヤフーのADSL戦略の過激な宣伝と低価格の攻勢に、かなりの市場が乗っ取られてしまったのである。こともあろうに、アホでマヌケな私の小さな小さな会社も、半分はヤフーBBのADSLのIP電話宣伝攻勢に嵌められてしまったのである。聞くところによると、どうやら社長(たぶん、私のことらしい)がいちばんアホで、マヌケらしいのだ(笑)。というわけだから、タイミングを見て、もう一度NTTの高速光ケーブルに変えねばならないのだ。 やれやれ

確かに既得権にあぐらをかくことは許されない。しかし徹底した「競争至上主義」は、社会を連帯感のないエゴイスティックで野蛮な個人主義の方向に導き、いつ戦争が起きてもおかしくない疑心暗鬼の不安な社会を生みだしてしまう。「競争至上主義」の行き着くところは、結局のところ戦争しかなくなると、私、千葉邦雄は思っている。頭の中で抽象的に描く「市場経済」のイメージはとても素晴らしいのだが、現実には弱肉強食の果てしない暴力連鎖の果てに、たったひとりの強者だけが生き残る「力学」に他ならない。ようするにアメリカの単独行動主義(ユニラテラリズム)がそうであり、「テロとの戦争」というインチキをでっちあげて、イラク先制攻撃を正当化してまで守ろうとしたドル帝国主義がそうであり、最近よく囁かれる「ウイナー・テイクス・オール(ひとりの勝者がすべてを奪う)」がそうである。

■構造改革という「小さな政府」論の背後

たとえば、既得権排除を誰よりも先に唱えてきたオリックスの宮内義彦氏は、総合規制改革会議を舞台にして電力を始めとして、あらゆる業界の規制撤廃を提唱してきた「改革者」ですが、その影の部分では、あのハッタリと汚職にまみれたエンロンの日本上陸の尖兵となっていたのだ。米エンロンの貪欲な錬金術については、 前回のコラムNo.38 で触れたとおりである。既得権を排除したあとで、新たな美味しい権益が転がりこんでくる立場の会社の代表が、こともあろうに総合規制改革会議の議長の座に、永い年月にわたり居座り続けているのもまさに不思議な流れである。構造改革という「小さな政府」論の背後には、政府機能を悪として排除したあと、自分たちの好き放題のやりかたで、まるでジャングルのハイエナのような無統制なやり方で骨までしゃぶりつくすのである。

確かにソフトバンクBBの行動は、今までの日本のビジネスの手法とはかなり異質で、さすがは革命児とばかりに巷でもてはやされているが、実際のところは、やはり彼もアメリカ資本のエージェントとしてその存在感をアメリカに売り込むために、誰よりも早く行動しているに過ぎない。このままでいくとヤフーBB=BBフォンの“無料キャンペーン”という顧客奪還戦略が、そのままNTT局社内の「自前の工事」の占領につながっていくにちがいない。

もし総務省の紛争処理委員会がその協議に積極性を示さなかったなら、アメリカは公取を使って「消費者保護」を名目に、「独占・寡占規制の見直し」に訴えて、NTTをまるで「ならず者」のフセインやビンラディンのように追い込んでいくような感じになるかもしれない。しかもこの「見直し」は、ヤフーBBでも一時かなり問題になったように、NTT加入者の個人情報がすべて競合ライバル社に流れる危うい危険性を秘めているのである。ソフトバンクの孫正義氏のビジネス発想は、日本の「和」の精神からはほど遠く、まさにヘッジファンドの「ウイナー・テイクス・オール」思想そのもののようである。いま彼、孫正義氏は、国家の基幹インフラである「通信事業」を占領しようと、草原に住む獣のように虎視眈々と、その巨大な獲物に狙いを定めたようである。

■ドル帝国主義を維持するための21世紀型のアメリカ・トランスフォーメーション

米軍が進める海外駐留米軍の再編(トランスフォーメーション)によるメディアへの発表があってからまだ間もないというのに、なんだか、ここにきて世界が急激に「テロ」と「事件」で慌ただしくなってきているように思う。

まず日本の沖縄県宜野湾市で米軍ヘリコプター墜落事故が起こり、そのすぐ後にショッキングなロシア旅客機2機同時爆破テロが報道され、9月に入ると同時に今度はロシアの北オセチア共和国ベスランで、チェチェンゲリラが1000人以上もの人質を楯にして学校占領事件を発生させ、東アジアでは韓国が核武装の秘密計画が、国際原子力機関(IAEA)が韓国政府の意向を受けて唐突に発表されたのだ。

これらの事件と報道は、ほとんど立て続けにバラバラな事件として起こったのだが、私にはそのタイミングといい、直感的に、とても怪しい連鎖があるような気がしてならない。9月はアメリカの新年度である。そして9.11からもはや3年である。米軍の世界戦力の再構築の発表と同時に、何らかの兆しが見える時期でもある。今アメリカ国内は警戒態勢が引かれ、まるでテロを自ら望むかのように、「テロが起きれば、11月の大統領選は延期する」といったとほうもない不思議な発表をおこなっている。

そんな流れのなかで、ロシアの旅客機2機同時爆破テロの気味の悪い事件が勃発し、そのすぐ後に北オセチア共和国ベスランで、1000以上ものあまりにも悲惨な人質学校占領事件が、チェチェンゲリラの武装勢力によって起されたのだ。プーチンは、ユダヤマフィアを倒すために、ロシア最大の石油企業ココス社の内部解体をもくろみ、つい最近ココス社長ホドルコフスキーを強引なやり方で拘束逮捕している。

ただこのホドルコフスキーは、アメリカ資本のエージェントで、あの悪名高きカーライルの役員にも名を連ねているのだ。そしてチェチェンゲリラは、ブッシュ・パパの時代からCIAから支援を受けており、現ブッシュ政権は、プーチンが仕掛けた突然のホドルコフスキー逮捕を激しく批判している流れがある。ゲリラ側にしてみれば、昨年のロシア劇場占領事件といい、今回の学校占領事件といい、なんだか自ら世界を敵にまわしている感じで、なんとも奇妙で不思議な流れである。

■「テロ」は世界を怯えさせ、アメリカのドルが復活する

ともかく、これで世界が「イスラム原理主義のテロ」の恐怖下にあることを、ブッシュ政権は明快に証明できたのである。「テロ」は世界を怯えさせ、突出した軍事力を誇るアメリカ軍への依存度が高くなってくる。その結果としてドル基軸通貨体制がもう一度支持される流れになる。ブッシュは口には出さなくても、他の誰よりもこうなることを、首を長くして待ち望んでいたのである。

また韓国の突然の核武装計画の発表にしても、この時期だけに、私としても素直には受け取れない。北朝鮮の金正日体制が、六カ国協議によってこれ以上追い込まれないようにと、アメリカがあえて仕組んだ核兵器疑惑リークのように思える。六カ国協議のメンバーである韓国でさえそんな状況なのだから、六カ国協議そのものがもはや無効じゃないのか、といった方向にアメリカは持っていきたいにちがいない。

そういった流れになれば、北朝鮮による「危機」はこれからも存続し、ようするに、めでたしめでたしなのである。さらに韓国の存在そのものまでが、日本や中国にとって新たな安全保障上の脅威となったのである。そして21世紀の成長地域であるアジアの最大の危機は、中国と台湾の今後の動きにかかっている。今後最も重要になるドル通貨圏であるアジアの外貨準備高は、政府と民間の持分を合わせたドル債の総額は、現在約400兆円にもなるのだ。

その内訳は中華圏(中国、台湾、香港)で200兆円、日本で200兆円ということになる。この大事なお客さんがユーロに離れていかないようにするためには、先ほどから言っているように、アジアの軍事的危機がどうしても必要であり、核ミサイルの脅威が創造されなければならないのである。言っている意味がわかってもらえるだろうか。そういったアメリカのドル帝国主義の流れを踏まえて、日本の沖縄県宜野湾市でヘリコプター事故が、なんの意味もなく偶然に起きたのである。

普天間基地の傍でヘリコプター事故が起きたということは、今後極東で必ず起こることが予想される核ミサイル危機に対して、沖縄米軍基地の存在を日本政府に再発見させたかったのである。沖縄で起きていることは、我われ日本国民全体に起きていることなのである。小さな沖縄が、日本国民すべてのリスクを健気にも背負っているのである。いや、背負わされているのである。そのことに私たち日本の国民が、いつまでも気づかないとしたら、ほんとうにアホで、マヌケである。

アメリカにとって大事な極東アジアで、なんとしてもドル離れが物理的に起きないようにするための新たなる世界戦略が、今回のアメリカ軍再編(トランスフォーメーション)なのである。「極東アジアの属国どもよ、文句はないだろうな」といった感じである。もちろんアラブの中東諸国に対しても同様の戦略なのである。たとえば、こんな感じである。

「テロや核ミサイルからの恐怖から守ってほしかったら、アラブの土人どもよ、油の決済をユーロなんかにするんじゃねーぞ、わかってんのか?サウジの王族連中よ、俺たちネオコンのおかげで、いま油も最高の高値で取引できているじゃねーか、俺たちのいうことを聞いていれば、最強の軍隊とハイテク武器で、テロからアンタたちをちゃんと守ってやるぜ」

つまり、そういうわけである。まさにドル帝国主義のマフィアの親分なのである。 この上私の予言するようなサプライズがさらに起きようものなら、この地球はどうなってしまうのだろうか。 やれやれ

 

 

 

《主な参考文献および記事》

(本記事をまとめるにあたり、次のような文献および記事を参照しました。ここに、それらを列記して、著者に感謝と敬意を表すると共に、読者の皆様の理解の手助けになることを願います。)

★  藤井耕一郎 ( ) NTT を殺したのは誰だ!」アメリカの狙いは NTT 潰しと光ファイバー潰しだ。(株式日誌と経済展望)

★  ロシア経済ジャーナルNo.283 チェチェン問題の源と裏側 3  北野 幸伯

★  ビジネス知識源 Vol,194 単純になった世界 (2) 吉田繁治

★  「人間力」の衰退 内橋克人

『終』

--->記事一覧へ

この記事に対してご意見・ご感想などいただければ幸いです。news_otoshiana@chibalab.com