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ブッシュ再選とソフト・パワー戦略の攻防 No.392004年6月24日

イラクの「国旗」や「憲法」の草案まで請け負う民間企業ダインコー(DynCorp)

「アメリカが世界で一番強いのだから、世界を力ずくで民主化するやり方のどこが悪い?」といったロバート・ケーガン風のネオコン・スタイルで、アメリカを中心とする米英軍は、国連決議を無視してイラクを強引に先制攻撃し、イラクを占領してしまった。そして中東からユーラシアに至るまで反米感情を植えつけることで、テロによる日常的な「混乱」が定着し、ブッシュ・ドクトリンにおける「テロとの戦争」という大儀が正当化された。そして今後20年間、石油のある地域の「平和」を維持するという口実で占領或いは傀儡政権による統治支配することで、アメリカは「石油支配」と「ドル機軸通貨体制」をなんとか維持していこうとしているのである。

だから中東からユーラシアにかけて、アメリカに対する憎悪から発生するテロによる「混迷化」は、すべて織り込み済みで、今後の20年間をしっかりと見越した予定通りのアメリカの中東泥沼化戦略なのである。そうすることで、ブッシュ政権の縁故企業である石油や軍産複合体ばかりか、ダインコーやカーライルやケロッグ・ブラウン&ルートやベクテル等のアメリカの戦争&復興ビジネスまでが、「復興支援金」によって末永くおいしい仕事にありつけるわけである。

フセイン政権亡き後、イラク統治評議会がイラクの行政を今までやってきたのだが、それはあくまで見せかけで、本当の実権は占領当局(CPA)のトップであるポール・ブレマー行政官である。彼を中東の専門家として任命したのはブッシュ大統領であり、フセインが使っていた元宮殿を事務所代わりに使って、まるで独裁者のように自由奔放に振舞っているとの噂である。

彼はキッシンジャーの弟子で、外交を通していかに自分の関係する会社に利益を引き込んでくるかに才能を発揮する、まるで政商のような存在なのだ。実際に自らテロ対策の専門会社を立ち上げて、イラクの占領統治にやってくる前までは、世界最大の保険仲買業者 Marsh & Mclennan Companies でテロ保険を売りまくって、9.11テロで大儲けしたかなり胡散臭い人物なのだ。そんな彼の指揮の元で、日本ではまだあまり知られてないダインコー(DynCorp)という社員2万3000人、売り上げ3億ドルの民間企業は、イラク戦争終結後、5000万ドル(約55億円)の仕事をアメリカ政府から受注した。

このダインコー(DynCorp)会社は、ブッシュ政権への献金リストの上位ランキングの常連としてアメリカでは有名で、戦争やクーデターやテロが起きてアメリカ軍が展開する場所には、必ず進出しているのである。最近のお得意さんは、ハイチ、コソボ、ボスニア、東チモール、ヘルツェゴビナ等で、当然競争相手がいないから、相当にボロイ商売といえる。

この会社の得意は、イラクの法律整備と公務員教育であるから、いまイラクの民主化をシンボライズする「国旗」や「憲法」を決めることで、当然のように、アメリカ自らが「イラク基本法の草案つくり」に関わってきているわけである。イラク国民の未来を左右する最も大切な「各種法律」を、イラク国民ではない、アメリカの民間企業のダインコー(DynCorp)がつくっているのである。

こういった現実は、日本国憲法を「神仏」のように崇めてしまっている日本人には、かなりショックかもしれないが、真実の流れなのである。そしてあえて言わせてもらうなら、現在の日本国憲法も、イラクとほとんど同じ流れなのである。戦後の占領期にGHQ(連合軍司令部)が集めた民間人によって、たったの11日間で作られたのである。その流れを頭に入れてイラクの「基本法の草案つくり」を眺めてみるなら、なんら不思議なことではない。

日本は主権を奪われたままの抜け殻国家?

日本は、敗戦から59年もたった現在も、もしかしたら、日本政府の官僚や政治家たちは、宗主国であるアメリカが決めた通りのことを、そのオウム返しの受け売りだけを、さも自分たちが決めたかのようなフリをして、現在までの長きにわたってやり続けてきたのかもしれない。だとしたら、日本はいまだに占領されたままの「植民地」であって、私たちが学校で教わった民主的な「主権国家」ではなかったことになる。

そうだとしたら、私たち国民はそれを知らねばならないし、知る権利があるのだ。もしそれが真実であるなら、日本の国会やすべての政治家の振る舞いはすべてまやかしであり、実体のないものを、さもあるかのように演じている「詐欺的統治」ということになる。私たち国民に与えられた「選挙権」や、それによって「選ばれた政治家たち」もすべて壮大な映画のセットの中の演じられた詐欺的出来事の部品に過ぎず、リアルな現実としては、最初から何も存在していなかったも同等のことになってしまう。

なのに、現在の多くの日本人は、自分の国を、“主権を奪われた何ひとつとして自分で決めることのできない抜け殻のような国” であるとは思っていない。まず始めに、自分の国がどういう状態にあるかを自覚しなければならない。残念ながら、すべてはそこから始まると思う。

でも小泉首相以外の誰が他にいる?てか。この私に、な、なんて質問をするのだ(笑)。小泉首相は、日本の歴史始まって以来の歴史上に残る最悪の首相なのだから、はっきり言って、他のどんなトンマな奴がなっても小泉首相よりマシに決まっているのだ。わかったか?(爆笑)

私の個人的な思いとしては、世界で勃発する不可解な事件や国際金融勢力による政治的企みを、私たち日本民族のプライベートな欲望という視点からとらえた日本で一番わかりやすいコラム(?)を書いていくなかで、出来れば、私たち日本民族が、様々なプロパガンダという幻想から解放されて、日本民族にふさわしい「和」の精神を生かしたアジアのリーダーに成れればと願っている。

9.11後のヒステリー現象?

話をもとに戻すが、傲慢で世界から憎まれ続けるネオコンの存在があってこそ、冷戦以降の今後20年間、「テロとの戦争」という苦肉の策によって「危機」を再生産することが可能となり、米英にまたがる国際金融勢力にとって、最も旨みのある「戦争ビジネス」の大儀が成り立つわけである。「自由貿易」や「規制緩和」や「IT革命」が素晴らしい効率社会であるかのように喧伝する欧米のプロパガンダを、さもありがたく語る日本の御用学者たちや主要メディアは決して触れないが、物質資本主義は、基本的にはゼロサムシステムなのだから、人の不幸という「破壊」が生まれなければ、もう一方の側に幸福という「創造」が成立しない仕組みになっているのである。嫌なことに、宇宙の力学はすべて「対」になっているようである。

しかしそんな先制攻撃も辞さないというハード・パワー力学だけでは、アメリカの覇権は維持できないから、巧妙にソフト・パワーである自らに対する批判的な勢力をそれなりにタイミングを見て台頭させることで、アメリカは、覇権バランスを取っていこうとするわけである。イラクを先制攻撃するにつけての最大理由であった大量破壊兵器情報がチャラビ等の捏造であったことや、アブグレイブ刑務所でのイラク人虐待が組織的に行なわれていた可能性が高いことやらを、他でもないアメリカ自らの内側から盛り上げ表面化させることで、アメリカに存在する多様性とバランス修正能力を、世界に向かってもう一度アピールしてみせているのである。

それはある意味で、ハリウッドが「ラストサムライ」をイラク占領のこの時期に合わせてリリースすることで、古来から日本民族が持つ「精神性」を、あなたたちの友人であるこのアメリカ人がちゃんと理解しているんだよ、といった具合のやり方で、あたかも「日本人の魂」までうまく取り込んでしまう戦略に似ていなくもないのだ。まあ、そういう意味で、むしろソフト・パワー戦略のほうが高度に洗練された戦略といえるかもしれない。

もちろんそれが素晴らしい効果を発揮できる前提として、ネオコンによる「自分たちに味方しないものには先制攻撃も辞さない」というほとんど脅しともいえるハード・パワー戦略があったからこそ、なのである。激しい「戦争」が続いた後にこそ、「平和」というものに貴重な価値が魔法のように散りばめることが可能となる。

いまブッシュ政権は、それなりに中道的なソフト・パワー戦略をうまく取り組むことで世界からの批判と憎しみをうまくかわして、次のステージに進もうとしている。6月17日付けのワシントン・ポストによると、「ブッシュ政権は世界を理解しておらず、形式的にも内容的にも、世界規模の指導性について責任を果たすことができないでいる」と退職した27人の外交官と軍司令官が告発したのである。そして元大使と4つ星の司令官がワシントンの記者会見で声明を読み上げて、「この半世紀の歴史において、アメリカ合衆国をこれほど孤立させたことはなかったし、これほど恐れられ疑われたことはなかった」と語り、イラク侵略をめぐる周知の様々な疑念が湧き起ってきた流れのなかで、もしアメリカが外国の同盟諸国からの信用回復を期待するなら、ブッシュは11月の大統領選に敗北すべきである」とも述べている。

そして元サウジアラビラ大使のチャールズ・フリーマンは、これらの行き過ぎた現象を「9.11後のヒステリー現象」という比喩を使い、さらに「やがて歴史のなかでこの時期を、われわれは非常に恥じ入ることになると思う」と語った。確かに、このグループは多くの見解をケリー上院議員と共有する立場であることはすぐにわかるのだが、それでもアメリカにはまだまだ底深い多様性があることを、世界に向かってタイミングよく自ら自己批判して見せることで、新たなるブッシュ政権のイメチェン戦略とも受け取れなくもないのである。

イラク混迷化こそネオコンのミッション

何故なら、殆どのネオコンがブッシュ政権の中で解任されずに生き延びているし、多少息を潜めつつ、次なる出番を意識して新たなる季節の到来を見極めている感じである。そのひとつの証拠に、ラムズフェルド米国防長官とパウエル国務長官辞任後のブッシュ第2次政権では、その後釜にポール・ブレマー元CPA行政官の名が早くも噂に上ってきているからである。

ケリー大統領候補と同じように、実はこのポール・ブレマーも「スカル・アンド・ボーンズ(Skull and Bones Society)」という組織の先輩後輩の間柄で、この組織は、なんと「世界を操る」ことを目的としたイエール大学の有名な秘密結社なのである。もちろんブッシュ大統領も、ブッシュ・パパもこの「ボーンズ」のメンバーであることはすでに有名である。どうやら世界を支配するものたちは、すべて赤い糸でつながっているようである。

ソロスの最新作である『ブッシュへの宣戦布告“The Bubble of American Supremacy”』の序文で「アメリカは、今日の世界で、どの国家も、どの国家連合も、当分は対抗できそうもない支配的な地位を占めている。アメリカがその地位を失うとすれば、それは唯一、自らの誤りによってだろう」と述べている。ようするにアメリカは、ネオコンの力を借りて世界を意図的に「テロとの戦争」に持ち込むことで世界を「混乱」と「不安定化」に持ち込み、安定した単独覇権主義(ユニラテラリズム)ではなくて、あくまでアメリカを軸とした蜘蛛の巣状の「不安定な多極構造」に移行していきたいと考えているのである。

そのための準備段階としてのネオコンによるイラク先制攻撃であり、アブグレイブ刑務所に於ける組織的イラク人虐待リークであり、アメリカの傀儡政権になることがミエミエのイラク暫定政府への主権移譲劇なのである。そういった粗野なやり方で憎しみやら反米意識等を自ら煽ることで、中東に大量のアメリカ軍を置き続けること可能にし、と同時にアメリカは、中東の泥沼化によってイスラエルに領土拡大の口実を与えているのである。イラク民主化の混乱と泥沼化は、ネオコンの最初からのミッション(任務)だったのである。そのことが見えなくなってしまうと、国際金融勢力の隠された「罠」がリーディング出来なくなってしまう。

そういう混迷がより深まった状況であるからこそ、今こそアメリカ自身による自己批判的なソフト・パワー戦略が功を奏するタイミングなのである。それ故に、アメリカ自身によるあらゆる角度からのブッシュ・ドクトリン批判が、ある意味で予定通りに噴出してきているのである。つまり先ほども触れたように、日本人の気持ちをつかむために、自衛隊のイラク派遣の時期に合わせてハリウッドの中道派が「ラストサムライ」をタイミングよくリリースしてきた巧妙な詐欺的やり方と同じなのである。

ブッシュ大統領が「アメリカにつくか、テロリストの側につくか」というあまりにも強引な二者択一を世界に向かって強要した後だけに、いきなり相手の立場に合わせたような協調路線であるソフト・パワー戦略は、タイミングを間違わなければ素晴らしい威力を発揮するはずである。

そして問題なのは、この後である。イラクに主権移譲を済ませてしまった後、アメリカは本当にネオコン路線を切り捨ててしまって、ケリー大統領候補にバトンタッチする流れに本当に向かうのかどうかである。私にとってネオコンの行動は、政権中枢部で制御できなかった「誤り」なんかじゃなく、周到な計画に従った予定どおりの行動としか思えないのである。

その流れからいくと、やはりこの 夏から秋にかけて、私が予言 してきた何かしらの大事件が起きなければならない。それがオサマ・ビンラディン拘束劇になるのか、或いは大規模テロになるのかは別として、とにかくブッシュ政権の巻き返しのための大きなチャンスが偶然に訪れる可能性が高いのだ。

アングロサクソンの白昼夢と蛍の乱舞

いま世界の中で大きな潮流を生みだしているのはアジアであり、その新しい消費の流れとしてのアジアは、年々その存在感を世界のマーケットの中で急激に拡大しつつある。この潮流の変化に、日本人の私たちも頭の使い方を左脳よりから、右脳よりに切り替えるべきである。アングロサクソン文化にばかり追従していないで、今まで「影」となっていた部分に価値を見出し、「効率的な思考」は程ほどにして、「意味のない時」や「とりとめのない気分」を大切にする方向に自分の価値観をシフトしてみる時期が訪れているのである。そうすれば、今まで意味のないバラバラな記号でしかなかったものに、「深いつながり」や「意味」があることが気づくにちがいない。

これは私の独断と偏見かもしれないが、ブッシュ大統領やポール・ブレマー行政官やチェイニー副大統領やラムズフェルド米国防長官等のその表情や言動を、TVを通して見ている限りにおいては、あんまり幸せそうには見えない。彼らは、権力と名声と大金等の必要なものは殆どすべて手に入れてしまっているはずなのに、である。彼らの表情は、どちらかというとかなり神経質で、目が鋭く少しも暖かさを放っていない。

もしかしたら彼らは、あまりにも競争社会における貪欲さがバッチリ身につきすぎて、どれだけ手に入れても満足できないのかもしれない。エゴイズムが極限にまで膨らんだ欲望というものは、常にそういうものであり、手の先がもう少しで触れそうになったまさにその瞬間に、その幸せは、まるで逃げ水のように、サッと身をかわしてしまうのが常である。物質資本主義のエゴイズムが生み出す「幸福感」とは、いつもそんな具合に、何故か永遠に見果てぬ夢なのである。

そういえば一昨日、わりに近くにある伝統のある神社のすぐ横を流れている小川に、蛍がたくさん乱舞しているという話を聞いて、カミさんと子供を連れて行って見た。小さな蛍たちが闇夜のなかでふんわりと幻想的に輝きを放ちながら、辺りに乱舞する姿を見つめていると、一瞬タイムマシンに乗って子供時代の自分に戻ってしまったようになり、何だか言葉で表現できないとても幸せな気分に、全身を包まれたのだ。幸せとは、こういう気分なのかもしれない…。

 

 

《主な参考文献および記事》

(本記事をまとめるにあたり、次のような文献および記事を参照しました。ここに、それらを列記して、著者に感謝と敬意を表すると共に、読者の皆様の理解の手助けになることを願います。)

 2004年夏、新たなる9.11テロ勃発の可能性

★  2004年夏、新たなる9.11テロ勃発の可能性 2

★  夏に大規模テロの危険か、大統領選影響ねらい?

Vol .191: ブッシュの敗戦 吉田繁治 2004年6月22日号

★  エゴは鏡に映った「影」である

★ イラク戦争 日本の分け前 浜田和幸 (光文社 2004)

『終』

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