夏に大規模テロの危険か、大統領選影響ねらい?
No.36【2004年5月28日】
見透かされた小泉首相の軽い脳ミソ
今回の訪朝で小泉首相が失ったものは相当に大きい。今まで小泉首相の周りにいつもフワフワとまばゆく輝いていたオーラのようなものが、今回の訪朝で、国民の視界から完全に消滅してしまったように感じる。ピョンヤン会談で小泉首相は、まるで幼稚園の生徒が行儀よく整列させられたみたいな感じで、金正日を従順に迎えている。そこでじっと待っていろ、と言わんばかりに担当官に指図されて直立不動でいるところへ、金正日が現れ、素っ気なく握手を交わす。
会談中も、どこか見下すような態度で、ろくに視線も合わさないうちに短時間で会談が終了してしまう。そして会談が終了すると、小泉首相の方が先に部屋から出て待機し、金正日は一瞬の握手の後に去っていく。小泉首相は直立不動のまま、金正日の姿が消えるまで延々と見送り続ける。この映像が全世界に流れたのである。たとえピョンヤン会談の内容が外国語でわからなくとも、この映像で大概のことが判断できてしまう。どう言い繕うとも、この映像が一瞬で真実を物語ってしまっているのだ。軽佻浮薄な小泉純一郎の国内向けのパフォーマンスなんか、したたかな金正日にはすべてお見通しなのである。
とはいえ、日本の外務省は一体何をしていたのか。4月の山崎拓(前自民党副総裁)氏と平沢議員(前拉致救出議員連盟事務局長)の大連での非公式での接触、5月4〜5日、藪中アジア太平洋局長と田中外務審議官による北の高官等々の事前交渉があったわけだから、多少時期が早回ったにしても、決して小泉首相の単独判断ではないはずである。もしかしたら長年のアメリカ追従で、外務省という真に国益を追求するメカニズムそのものが崩壊しているのかもしれない。
ただ、やはり国民年金未納問題やイラク自衛隊派遣の混迷からなんとか巻き返しをはかりたいと思っていた時期だけに、小泉首相は、2002年9月17日の突発的な「日朝首脳会談」の大成功を、夢よもう一度とばかりに甘い幻想にすがりついてしまった可能性はある。ネオコンが弱体化している今こそ、拉致問題を一気に解決できる滅多にない最高のチャンスであるといった具合に。2年前に外務省がお膳立てした最初の訪朝のときでさえ、アメリカのメディアはものすごく批判的だったにもかかわらず、小泉純一郎は大成果を上げることができたのであるから…。
ここでもう一度基本に帰って考えてみたい。北朝鮮と日本が国交を回復するようなことがあっては困るのは、他でもないアメリカである。北朝鮮という「ならず者国家」が存在し続けてこそのアメリカのミサイル防衛計画である。北朝鮮の危機が消滅してしまったら、沖縄米軍基地の存続価値そのものが失われてしまう。もし本当に金正日が「ならず者国家としての役割」を放棄してしまったら、カーライルを始めとするミサイル防衛巨大ビジネスそのものがお釈迦になってしまうのである。そんなことをブッシュ政権はもちろんのこと、穏健派である元大統領のブッシュ・パパですら、許すはずがないのである。
国防総省の計画では、アラスカとカリフォルニア州におよそ10基の迎撃ミサイルを配備することで、本土50州を北朝鮮からの核・生物兵器搭載可能ミサイルの攻撃から守るという建前で、この弾道ミサイル防衛(MD)が推進されているのである。日本は1998年からアメリカと海上配備型ミサイルの共同研究を続けており、2003年末、アメリカの海上発射型の「SM3」ミサイルと「パトリオットPAC3」地対空ミサイルの導入を閣議決定した。以前にも話したが、1983年にレーガン政権が「戦略防衛構想(俗に言うスターウォーズ計画)」を最初にぶち上げ、現ブッシュ政権は、弾道弾発射直後、飛行中、弾道切り離し後等の各段階で打ち落とす「多層防衛」の弾道ミサイル防衛構想(BMD)を推進した。これはアメリカ史上最大級といえるぐらい高価なものであるにもかかわらず、実際に敵のミサイルを打ち落とせるかどうかは不明の代物である。しかも今後5年間だけで530億ドル(約5.8兆円)の支出が必要とされている。(
参考記事
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4月21日、上院軍事委員会国防小委員会の公聴会で、ファインシュタイン議員が「敵のおとり弾頭への対処も怪しいのに、なぜ配備を始めるのか」との質問に対して、ケイディッシュ国防総省ミサイル防衛局長は「今は確かに誰かに撃ち込まれても撃ち返せないが、それがいずれ可能になる」と述べ、配備開始後も継続的に性能の向上を目指すという不思議な返答を、従来どおり繰り返した。北朝鮮の核ミサイルなんてファンタジーなのだから、アメリカの進めるミサイル防衛計画に乗り遅れまいとあせる必要なんて、はっきり言ってどこにもないのである。そのほとんどがカーライルや軍産複合体等が仕掛けるインチキなのである。
ゆえに曽我ひとみさんの夫ジェンキンスさんの帰国に待ったがかかり、残りの拉致被害者10人に関しては「再調査」を了承するのみにとどまったのである。いまや拉致被害者は完全に政治カードとして利用されているのである。今後、とくに曽我ひとみさんの夫ジェンキンスさんが拉致問題のキーワードになっていくと思われる。もともと2年前の拉致被害者が返されたとき、曽我ひとみさんだけは日本側の拉致認定者の公式リストに載っていなかったのである。蓮池・地村2夫婦の他に曽我ひとみさんが予定外に突然加わった流れの中には、すでに「時限爆弾」がセットされていたのである。
そのことを知ってか知らないでか、この複雑な拉致問題の渦中に、小泉首相は再び飛び込んでしまったのである。この「時限爆弾」を仕組んだのは、私には金正日だけの知恵とは思えないのである。金正日の後ろで、糸を引く者の様々な思惑が見え隠れしている。だから、曽我ひとみさんが直感的に北京での再開を警戒するも、私なりにわかる気がする。とにかく今回の拉致問題に対する対処の仕方で、小泉純一郎は国連からはもちろん、中国やロシアや韓国からも、完全にくみし易しと舐められてしまったようである。ようするに、日本は世界の「がま口」とみなされてしまったのである。
たとえば今回の食料25万トンと1000万ドル相当の医療品の支援にしても、一度国連へ援助額相当のお金を拠出し、国連がこのお金で再び日本政府から米や医療品を買い上げて、国連が北朝鮮へ米と医療品を支援するという間接的な方式をとっている。この方式だと、多くの費用が国連と日本政府のあいだを移動する途中で、かなりの資金がキックバックやら横領やらリベート等やらで中間で消滅してしまうことになってしまう。そういえば、かつての金丸信前副総裁やさきがけの武村正義代表も、やはりこの北朝鮮利権絡みで失脚したことを記憶している。
今回の訪朝を誰よりも促したのは森派の森会長らしい。国交正常化に際して巨額の復興支援金が動くことが予想され、一説には5兆円とも囁かれている。朝鮮総連絡みで、その数%のキックバックが入るだけでも数千億円のお金が舞い込んでくるわけだから、政治家として脳ミソが「混乱」したとしても無理ないのかもしれない。
そういった流れを牽制する意味で、日本テレビが訪朝前に「北朝鮮へ25万トンコメ支援」をリークしたのである。それに対して政府は頭に来たために、最初日本テレビの同行取材を拒否するという子供っぽい通告をして反撃してみせたのである。
結論を言うなら、小泉純一郎はもともと「拉致問題」と「核問題」を解決しようなんて、大それたことを考えていたわけではない。そんなことを本気でやったなら、アメリカからの圧力で政治的に失脚させられてしまうことぐらいは、当然わきまえているのである。あくまでブッシュ政権が弱体化した流れの間隙をついて、参院選をにらんでの、国民年金未納問題やイラク自衛隊派遣問題等からの「巻き返し戦略」として、国民の人気取りとしてのパフォーマンスをぶち上げただけなのである。それが、今回は予想外に裏目に出てしまったというわけなのである。
「国民年金未納リーク」で得をしたのは誰か?
与党である小泉首相さえも心理的に余裕を失わせ、金正日にすかさずつけこまれてしまったこの年金未納問題リークは果してなんだったのだろうか。最初に中川経産相、麻生総務相、石破防衛庁長官等が未納・未加入があったとして陳謝したことが契機に、国会議員内で「年金不払い問題」がまるで竜巻のように吹き荒れた。マスコミもこれを煽った。
その結果として、政府与党内で皆に責任問題を迫られた福田康夫官房長官が、突然辞任を表明した。今やあまりにも福田監房長官ばかりに情報が一極集中するために、反感を感じていたものが相当数いた。もともと小泉首相は福田赳夫元首相の書生をやっていたから、福田康夫官房長官は表面では小泉首相を立てていても、どこかで一段見下しているところがあるという。それ故に、福田長官の独裁者的な独走ぶりが鼻につくようになってきて、時どき火花を散らす流れになっていたようである。
そして福田長官の辞任は大きなうねりとなって、今度は最大野党の民主党を襲った。「未納三兄弟」演説で乗りにのっていた管直人党首は、いかにも気まずい雰囲気のなかで辞任し、最後まで党首に担がれることに抵抗していた小沢一郎までも、党首を引き受けた瞬間に、またもや辞任する流れになってしまう。結果的に、最後に民主党の代表になったのは最も自民党よりの岡田克也幹事長である。これらの流れを俯瞰図的に眺めて考察してみるなら、小泉ネオコン政権の流れを邪魔する抵抗勢力の徹底的な排除であり、魔女狩りである。
正直なところ、見事としか言いようがない。そもそも国民年金議論の背後に隠れている力学はいったい何なのか。銀行にお金を預けてもほとんど意味がなくなった今日、冷静になって年金を眺めるなら、これほど率のいい“貯金”はもはやどこにも存在しないものである。国民年金を例に取るなら、25年かけて、65歳以上になれば年間79万円前後を受け取れるのである。80歳を平均寿命として15年間支給を受けるとして単純計算するなら、もらえる金額の方がはるかに大きい。つまり加入した方が得なのである。(
参考記事
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私が思うに、増え続ける税制赤字、一向に回復しないデフレ不況を過剰に強調することで国民を不安地獄に落としいれることによって、この際に国民年金や厚生年金を一元化して、社会保険庁の最大の狙いは、国民から「多くを集めて、少しを返す」流れに一気に変更してしまおうと企んでいる。そして保険料はいつのまにか上がり、支給額は減らした上で、さらに支給年齢を上げようとしているのである。
そうなれば政府も大企業も、どんなにか助かるのである。さらに企業としては、自己責任で個人が運用するタイプの確定拠出型の年金ファンド等に切り替えてほしいと考えているのである。もちろんその背後には、一握りの国際金融勢力が支配する今やほとんど外資系になってしまった銀行や保険会社等が、狼のような顔をして涎をダラダラと垂らして待ち構えているのは当然のことである。ようするに、これが「国民年金未納問題リーク」の隠された真実である。
チャラビ自宅襲撃とアブグレイブ刑務所解体宣言
一方イラクでは、国防総省のハードな占領統治から派生したアブグレイブ刑務所の数々のイラク人捕虜虐待事件の流れを受けて、国連を引き込んだ国務省主導のソフトで聞く耳を持った民主的流れを創ることで、いくぶん軟化した国務省イメージによる、「民主的な変身を遂げたイラク復興プラン」にうまく移行したことにしたい。そういった流れに明らかな説得力を持たせるためには、もちろん目に見える劇的な変化を象徴するような事件がどうしても必要となってくる。そんな折にタイミングよく次のような事件が起きた。
5月20日、バクダッドCNNによると、イラク警察と占領アメリカ軍は、バクダッド市内にある統治評議会の主要メンバーのアハメド・チャラビの就寝中に急襲し、私邸とチャラビの複数の事務所(イラク国民会議
/INC )を家宅捜査した。そしてチャラビによると、武装した警察が寝室に侵入して彼をベッドから起し、彼のPC、文書、コーランの価値のあるコピーを盗み破損したと述べる。そして記者会見で、「“国連の石油食料交換プログラムに関する不正資金疑惑”の資料の引渡しを求めるアメリカに応じていないのが、アメリカは気に入らないのだ」と語り、さらに「私はイラクに於けるアメリカの親友だ。これはイラクでのCPA(イラク占領当局)の失敗の内、2番目に最悪の行為だ。このような扱いは許されない。CPAとは縁が切れた。CPAも終わりだ」とアメリカへの不満をブチまけた。
この事件が起きる前触れとして、パウエル国務長官は5月16日、イラクの移動式生物製造施設に関する情報についてテレビインタビューに答えた。「複数の情報があり、我われは慎重に精査した。しかし国際社会を欺く結果となり、私も深く失望し、後悔している」と遺憾の意を表明している。この移動式製造施設の情報は、イラク統治委員会のナンバー1権力者であるチャラビ一族によってドイツルートでもたらされたことがわかっている。イラク国民会議幹部の主犯アフメド・チャラビは戦前に国防省に何度も出入りし、イラク戦争突入のための情報源として活躍した。
かつてアルカイダとサダムが繋がっているという根も葉もないインチキ情報を主張したのもイラク国民会議の議長のアフメド・チャラビであり、アメリカ国防政策委員会リチャード・パールも、イラク戦争に関する最も重要な情報源だったと主張している。パウエルは、そんなチャラビの情報にまんまとはめられたフリをしてイラク戦争支持にまわったのである。カーライルの元顧問であるコリン・パウエルも、結局のところ、戦争屋であるカーライルの目論見である「戦争をできるだけ長引かせ、混乱に乗じて邪魔をするものは消せ」に忠実なようである。
カーライルといえば、ビンラディン一族とブッシュ一族が9.11テロの起きた日、同時刻に同じ部屋で一緒にいたことがVPROによって報道されている。場所はリッツカールトンホテル。カーライル社は9月11日その日に投資家を集めて会議を開いていた。出席者はブッシュ・パパ、フランク・カールーチ、ジェームズ・ベーカー、デビッド・ルーベンスタイン等のカーライル幹部たちである。もちろん、その会議室にはテレビも当然あったと思われる。 やれやれ
5月18日上院委員会の公聴会に主席したウォルフォウイッツ国防副長官は、毎月支払われていた34万ドルの支援(累計3300万ドル)を停止するとこれ見よがしに発表した。まるで国防総省とチャラビはもう縁が切れましたよ、と大々的にPRしているみたいでどこか胡散臭い流れである。しかし今は国連やイラク国民の幅広い支持を得ることが必要な「反米ムード」の大切な時期であり、パウエル配下の国務省主導にバトンタッチする流れを演出し、国際コンセンサスをもう一度得るための「国連安保新決議案」が可決されなければならない最も大切な時期なのである。
しかしウォルフォウイッツやネグロポンテ駐イラク大使は、何故か「国連による石油食料交換プログラムに関する不正資金疑惑」に関してはいっさいノーコメントである。なんとも不思議な流れである。考えられるのは、あえてフランス、ロシア、ドイツ、中国、国連アナン等にメディアを通して大々的に恩を着せることで、今回のブッシュ大統領が発表したイラク復興5プランに協力してほしいというアメリカからの誘い水なのである。
ようするにすべては出来レースであり、茶番なのである。そんな折も折に、ワシントンCNNによると、25日複数の米当局者が、米本土に対する大規模テロ攻撃が、早ければ今年の夏にも起きるかもしれないというと見方を明らかにした。早ければ夏中に、遅くとも11月の米大統領選挙前に、テロ攻撃が起こる危険を示す情報が多く集まっていると説明。
治安筋によると、特定の日付や場所を示す新たな情報はないが、夏から秋にかけてテロの危険が高いと判断するに至ったという。長官は、アルカイダが3月のマドリード列車爆破事件に起こったのと同様の反応を望んでいるかもしれないという見方を示した。この事件は、スペインの選挙に影響を及ぼし、イラクからのスペイン軍撤退につながったのである。
そして7月4日の独立記念日や11月大統領選に向けて夏の終わりにボストンやニューヨークで開かれる民主党・共和党大会等が標的にされる恐れがあるという。さらにアシュクロフト米司法長官は「米国に明白で切迫した危機をもたらす要注意人物」として、アルカイダメンバーとされる指名手配犯2人を含む7人の名前と顔写真を公表した。(参考記事 参考記事
A、 参考記事B
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なんていうか、まるで私のコラムを読んでいるかのような発言である(笑)。しかし、このテロ勃発予想発表は、3月のマドリッド列車爆発事件を例にとって、同様の流れになることを予言しての警戒報道であるために、もし実際にそういうことが起こったとしても、決してブッシュ陣営による謀略のせいではないという逃げをうまく計算した、なんとも高度な心理戦略といえる。あえてテロ勃発がブッシュ政権に取って不利になるマドリード列車爆破事件の例を挙げることによって、実際にテロ勃発が起こったとしても疑われる可能性を回避する防御網を、うまく張り巡らしたように思われる。
やれやれ
《主な参考文献および記事》
(本記事をまとめるにあたり、次のような文献および記事を参照しました。ここに、それらを列記して、著者に感謝と敬意を表すると共に、読者の皆様の理解の手助けになることを願います。)
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株式日記と経済展望
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