日本よ、究極の先進国たれ 2
No.28【2004年3月27日】
あえて全世界を敵にまわすサイバーネット地政学
アメリカの軍事戦略の流れを決めたといわれる軍事系シンクタンクのランドコーポレーション(今や知る人ぞ知るラムズフェルド国防長官その人が前理事長)によれば、アメリカは今後20年にわたって中東を軍事覇権下に置き、アラブの民主化というインチキの下に「混乱」を自作自演(?)し、イスラエルの領土拡大を支援することになっている。
ようするに、イラクや中東の安全を確保するという口実で巨大な軍事基地を置いたまま、反市場競争社会のイスラム文化を根絶やしにすると同時に、中東全域のイスラム国家が持つ石油を略奪し、サダム・フセインの反逆によってドミノ化している石油ユーロ決済体制を阻止することで、アラブ諸国の民主化と市場主義の「大儀」の下に、もう一度アラブの石油を、世界で唯一の機軸通貨であるドルに引き戻すための「攻防戦」に、アメリカは、何としても勝利しなければならないのである。
もしドル機軸体制が崩壊したら、アメリカは最強のカウボーイであることを辞めなければならなくなる。刻一刻と増大する経常赤字、或いは財政赤字、計り知れない額に積みあがった対外債務。はっきりいってアメリカ以外の国ならとっくの昔に債務返済不能(デフォールト)に陥って崩壊してしまっている。いまだにアメリカが涼しい顔でいられるのは、ドル基軸通貨のおかげである。貿易をはじめ全世界の通商の国際決済通貨がドルであるため、世界経済が存在する限り、世界の衛星国は決済通貨≪ドル≫を外貨準備のために買い続けなければならない。潜在的に不渡りのドルを世界が買い続けるということは、世界の国民が一生懸命汗をかいて、アメリカの借金を肩代わりしていることになる。
一方アメリカはいくらでも対外債務を増やすことができる。アメリカは、債務返済に当たってはドルを印刷して払えばそれで済むのである。ただそれだけである。アメリカ以外の国は、当然ドルを印刷することが出来ないから、対米貿易で黒字を出して支払うか、自国の資源を売ることでドルに替えて支払うしかない。当然アメリカ以外の国は売る資源が枯渇してくると、すぐに支払いが困難になり、債務支払不能(デフォールト)に陥ることになる。
もちろんアメリカはひどい恒常的赤字国家だが、国際決済通貨≪ドル≫を発行する特権を持っているから、輪転機を回せば、すべて解決してしまうのである。だからアメリカは、対外債務や貿易赤字を気にするどころか、むしろ世界一の消費のガリバー(巨人)となって、今日のような生産過剰時代を戦略的に予測して「お客様は神様である」という立場をあえて選択したのである。資源がなく加工貿易で成り立ってきた日本のような国は、結果として「消費の王様」であるアメリカを、神様のように崇める立場に追いやられてしまったのだ。
そういうことだから、世界の決済通貨であるドルを握っているアメリカが、世界経済を支配しているのは、ある意味で至極当然な成り行きである。ようするにアメリカと、アメリカ以外のその他大勢の国とは根本的な立場が違うのである。その違いは「王様」と、その「家来」の違いである。このことを最低限認識しておかないと、今後の日本の未来が見えてこないのである。日本は確かに「家来」ではあるが、ちょっと例がない不思議な「家来」なのである。このことは、また後で触れる。
もしどこかの国がアメリカの安全を脅かしたり、基軸通貨ドルに挑戦してきたなら、アメリカは先制攻撃も辞さないのだ。何故なら、アメリカの世界支配を保障しているのは、基軸通貨と軍事力だからである。ところが、この通貨体制にフランスが反抗したのである。アメリカの横暴な支配から脱するために、シラク大統領は、サダム・フセインと手を結んで、2000年にイラクの石油決済をユーロにすると唐突に宣言させたのである。
もしユーロの力が強まって、アメリカドルに対抗できるだけの力がヨーロッパに成立してしまうと、国債の期限が来たときに、アメリカはユーロを所有しておかなければならなくなってしまう。当然アメリカはユーロを印刷することができないから、ドルを印刷してユーロを買うことになるのだが、そのためには担保が必要になる。世界がドルを支えてくれることで初めて成り立っているアメリカの実体なきファンタジー経済だから、当然担保なんてどこにもない。
担保がなければユーロを買うことができないから、アメリカ国家が破綻してしまうことになる。それを防ぐために、国連を無視してイラクに先制攻撃をかけたのが「本当の理由」なのだ。自国の国益のために他国を身勝手に侵略したという「本音」を世界に向かって公表できないために、アメリカは、「建て前」として大量破壊兵器の脅威や「ならず者国家」の民主化等を、思いつきででっち上げたのである。
さらにアメリカはNPT(核不拡散条約)やPSI(大量破壊兵器拡散防止構想)を押し進めながら、一方では怪しい国に対してはIAEA(国際原子力機関)の査察を要求する。そして世界から核兵器、化学兵器等の大量破壊兵器を根絶することを、アメリカの基本戦略としている。にもかかわらず、世界の核兵器販売額200兆円の大半がアメリカが販売したものであり、第2次世界大戦終了から今日までのすべての戦争に関わり、そのすべての戦争で化学兵器や大量破壊兵器を使用したのもアメリカなのである。
要するにアメリカは特別な国家であるから、「自分はどんな悪いことをしても許されるが、他人には許さない」という究極のエゴイズム思想である。アメリカこそが世界が恐れる「大量破壊兵器」のひとりじめを狙っているのである。そして同じように化学兵器や大量破壊兵器を保有している米英仏ロ中等の真っ向から対立する可能性のある常任理事国5カ国に対しては、なぜか破棄を迫らないで、弱小組織であるテロリストを挑発してテロを起させて、国際世論を「テロとの戦争」に誘導することで、アメリカの「テロとの戦争」に従うかどうかで、お得意の「敵」と「味方」に世界を2分化しようと企んでいるのだ。
アメリカはいま、冷戦時代のような自国の軍隊に戦死者が相当数でてしまう国家対国家の戦争はできるだけ避けて、従来の大型の核兵器に代わって、テロリストグループ等の「個人の敵」を相手にする小型核兵器を使ったハイテク戦争に持っていきたいのである。そうなれば反感や憎しみのために争ったにしても、「国家」そのものが滅びてしまうことはないのである。
そう云うことを前提にして、アメリカが世界覇権を強化するには、冷戦時代のような説得力のある中道派的な手法はもはや必要なく、アメリカの横暴でネオコン的な幼稚さを前面に出して、むしろ全世界から反感を買う必要があるのだ。いままでの地政学的な戦略を、一気に宇宙の軍事衛星を駆使した仮想型に進化させた…それはつまり、21世紀のサイバーネット地政学(著者である私の独断による命名)とでも名づけるべきものなのかもしれない。
先ほどからも言っているように、そうすることでいやいやながら服従する国と、まともに対立する国とが分かれる.本当に対立してくる手ごわい強国はあくまで除外して、あくまで「テロとの戦争」に特化して「混乱」を全世界に創造する。
そして究極的な対立、つまり、アメリカ対全世界という枠組みに持っていこうとしているのである。現在も未来もアメリカのハイテク軍事力に対抗できる国は存在しないから、全世界をまとめて「敵」にすることで、今後20年にわたって「テロとの戦争」を口実にして、全世界をアメリカの軍事覇権下に置くことができると考えているようである。これこそが、アメリカが考える新世界秩序の究極のレイアウトなのだ。
とすると、アメリカの大統領選はすでに結論が出ている可能性が高い。巷では、世界支配を狙うオカルト的秘密結社として有名な「スカル・アンド・ボーンズ(S&B)」の同期入会メンバーであるブッシュとケリーの一騎打ちということで、かなり盛り上がっているが、全世界からの反感と憎しみを買うことが戦略の中にあるランドコーポレーション等の軍事シンクタンクの流れに沿って考えるなら、国連や他国を巻き込んだ国際協調路線である一見ソフトなケリーよりも、むしろ武力中心で単独行動主義(ユニラテラリズム)のブッシュ政権の存続のほうに、すでに裏側で決まっているような気がする。
その流れで未来を予言すると、やはりオサマ・ビンラディン拘束を前提としたカードを、ブッシュ政権は、再選に向けて最高のタイミングで切ってくるにちがいない。9.11テロに始まって最近の3.11マドリッド列車同時爆破テロに至るアルカイダの首謀者オサマ・ビンラディンを、劇的な演出のもとに捕まえ、アメリカ国民が諸手をあげて喜んでいる姿を、全世界にメディアを通して大々的なパフォーマンスで見せれば、「国連憲章違反!」、「大量破壊兵器をめぐる報道疑惑」等の批判もどこかに掻き消えてしまうにちがいない。
そうなれば国内世論も一気にブッシュ支持に傾いて、11月のブッシュ大統領再選はまちがいない流れとなるわけである。もちろん目に目えない「アルカイダ」との戦争は、アメリカを憎む者が「存在」する限り、首謀者が次々と入れ替わって永遠に続くことになる。これが、アメリカが戦略として考え出した「テロとの戦争」の真の「仕組み」である。
かたちの上でアメリカは、イスラエルとパレスチナとの抗争を「中東和平ロードマップ」で解決するために、国連まで巻き込んだ。2005年にパレスチナに国際主権が与えられることになっているが、もしパレスチナが主権国家になったら、イスラエルは、今日のようにパレスチナに対して好き勝手な“報復”は許されないことになってしまう。パレスチナが武装集団から国際主権国家になったら、自爆テロに対する報復行為は、国連安全保障常任理事会の“許可”がなければできなくなるのだ。そうなってしまうと、「イスラエルの領土拡大戦略」が永遠に宙に浮いてしまうことになる。
だとすれば当然の帰結として、イスラエルは2005年を期限として、何かを“偶然”に起さねばならない。そして3月22日、イスラム原理主義組織ハマスの創始者アハメド・ヤシン師が車で移動中、イスラエル軍のミサイル攻撃を受けて殺害された。これでまちがいなく「中東和平ロードマップ」は、イスラエルの思惑どおりにご破算になってしまう…。 やれやれ。
「亭主関白」に妻がいなくてもなれるのか?
財務省は、2004年度の外国為替資金特別会計予算(為替介入資金)を、史上最高の140兆円と決めた。輸出企業を助けるという口実で、なんと国家予算の約2倍にちかいお金を、財務省は円高阻止のために使うということなのだ。そのほとんどのお金は米財務証券に換えられているから、ドルが下落しているために2003年の1年間で換算すると、日本は8兆円も損をしたことになる。ようするに、円高阻止はあくまで財務省の表向きの口実で、ブッシュ政権に対する対米資金援助なのだ。アメリカに言われるままに、アメリカの巨額なイラク戦費を支え、アメリカの株価を維持し、住宅公社や減税のための資金を黙々と日本は供給しているのだ。
いま、アメリカの経済がなんとか持っているのは、いったいどこの誰のせいなのか。アメリカのこれまでの繁栄は自力によるものではなく、日本からの資金援助によるものなのだ。日本国内は意図的な不良債権処理という「経済縮小のデフレ政策」によってかつてない不況に多くの国民があえいでいるのに、アメリカから資金を引き戻すどころか、史上最高の世界もあっと驚くさらなる140兆円もの資金援助を決めたのだ。恐らくこれからも、日本はお金を出し続けるだろう。
全世界からあえて憎まれることをしてまで略奪し続けるアメリカと、馬鹿扱いされ脅されても抵抗せずに与え続ける日本。物質資本主義の略奪思想を極限にまで膨らませたアメリカもなかなかユニークな国だが、何をされてもただ従順に与え続けてきた精神主義の日本も、相当にユニークな国家である。
それが60年ちかくも続いているのは、世界の目から見ておそらく奇跡に近いものがあるかもしれない。アメリカは、どこまでも物質資本主義のハイド氏役を演じ、その一方で要求されるままに与え続ける、「和」の精神を絵に描いたようなジキル博士役を、日本は無意識に演じてしまっている。物質資本主義のエゴイズムの極限を体現しているアメリカはわかるとしても、言われるがままに淡々と他国に与え続けている日本はユニークの域をはるかに超えてしまっている。
確かに「宗主国」と「属国」の関係だからと言ってしまえばそれまでなのだが、日本は“植民地”化された状態にありながら、一時は「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン」といわれて世界から敵視されるまでの先進国に成長してしまったのだ。欧米に植民地化され、主権を奪われた国は掃いて捨てるほどある。そうした国は経済的に自立できないまま、宗主国にあくまで食わせてもらっているのが普通なのだ。
ところが日本の場合、植民地同然でありながら、80年代後半には宗主国をも経済的に追い越し、以来与え続ける国になってしまったのだ。こんな国は歴史上存在しないし、アメリカにしても本音は、不思議な国だと思っているにちがいないのだ。確かに、日本が戦後の復興の中でやってきたことは、ただただ追いつけ追い越せと獣のように物欲に捕らわれた生き方をしてきた。その結果として世界の戦争にはいっさい関わらず、世界のものづくり工場となってメイド・イン・ジャパンの優秀な製品を安価な価格で与え続けてきた。その間戦争や略奪は一切しないで、よりよい生活のための「豊かさ」を黙々と生産し、与え続けてきたのが日本なのだ。
日本人のユニークさは、先ほどから言っているように精神面に特異性がある。とくに自然に対する考え方が大きく異なっている。人間は自らの生存のために、自然と戦い、または調和しながら文化を育み、伝統を作りあげてきたのである。この自然という「脅威」との付き合い方にも、「戦い」と「調和」という対極の二つの方法がある。日本の自然は四季に恵まれ、豊かな海に守られてきたために、生存のために自然と「戦う」文化というよりは、自然の恵みを「分かち合う」文化として発展してきた。その様々な自然を「八百万の神」として、その豊かな恵みに感謝しつつ生きていくのが、日本民族の「和」の精神なのである。また日本民族の幸せを祈って「祭り」を司り、「八百万の神」に恵みを請い、祈ったのだ。
「天皇」は、「八百万の神」に対して祈りの儀式を行う全国の神社の頂点に位置し、私たち日本民族が八百万の神に対して向ける、「分かち合う」精神の象徴的存在でもある。だから「天皇」は、いついかなる時も民族の幸せを神々に祈り続けてくださる「生き神様」なのだ。どんな戦乱の世にも天皇家が安泰であったのは、いかに天皇と国民が一体であり、かつ「尊い」ものであったかを証明している。自然(八百万の神)、天皇、日本民族が「祈り」と「感謝」で一体となっている民族国家こそが日本であり、その精神主義の伝統そのものが世にもユニークなのである。
西洋の「奪う」弱肉強食の思想に立ち向かうために、それとは対極の、私たちのDNAに刻み込まれた日本古来の「和」の精神に回帰しなければならない。インターネットの世界も、ネオコンの中枢部“ペンタゴン”から生み出されたネットワークなのだが、いまや世界の個人の「精神」があらゆる物理的距離や国境や人種や性差や肉体的外観を越えて「電脳の海」の中でつながり、世界市民の「分かち合う」精神として、予想に反して熱く息づきはじめている。電子のデジタルネットワークが、私たちの「こころ」を赤い糸でつないで、分かち合う「和」の精神主義を創造しはじめているのだ。
アメリカは世界最強のハイテク軍隊と「核」を持っているから、もはや自分たちの国に本気で対抗してくる国家は、ありえないと信じ込んでしまっている。しかし本当にそうなのだろうか。「亭主関白」は、果たして妻がいなくともやってゆけるのだろうか。
「核」の真実の威力というものは、実際問題として本当に使用するというよりはいつでも使うことができるんだぞ、という意味での「心理的脅威」としてあくまで機能しているわけだから、例えば日本だっていざという時には、今月でもう金融緩和はやめて、対米資金援助は止めさせてもらいますとか、思いやり予算撤廃や沖縄電力からの在日米軍への電力供給をすべて止めさせてもらいますとか、そういった演技としてのポーズをとることも可能なのだ。
いざという最後の瞬間に“伝家の宝刀”を抜くことができる余地を日本に残しておくために、言われるままに「和」の精神よろしく黙々と与え続けてきたのではなかったのか。もちろんほとんどの日本の国民はこのことに気づいていない。それでもいいのかもしれない。しかし小泉純一郎さん、せめてあなたにだけは、このことを理解していて欲しかった。そして出来れば一人でも多くの日本の政治家に、このコラムを読んでいただいて、日本民族の持つ「和の戦略」の自覚を持っていただきたいと願っている。
「こころ」の格付けと「精神国連」
今後アメリカが、ネオコンによる「新世界秩序」の帝国主義を強めれば強めるほど、「精神主義」が重要になってくる。物質資本主義の究極的なネオコン帝国主義の対極があるとしたら、それはバチカンである。日本は現実的な手法として「バチカンの力」を真剣に検討すべきだと思う。キリスト教原理主義を乗っ取ったブッシュ政権が、宗教戦争を仕掛けはじめた今、最終的にそこに立ちはだかるのはキリスト教の総本山、カトリック教会の頂点に立つローマ法王とバチカンなのだ。ほとんどの日本人にはピンと来ないかもしれないが、これは事実なのだ。
バチカン市国は0.44平方キロの猫の額ほどの領土面積で、人口700人ほどの世界最小の軍隊の持たない国家である。しかしバチカンの情報網はCIA、KGB、モサド(イスラエルの秘密情報機関)をはるかに凌ぐと言われているのだ。つまり、宗教国家としての顔とは別に、世界に冠たる情報国家の顔も備えているのだ。
世界の政治状況がこのところ、強硬姿勢と中道派とのあいだで揺れ続けるのが、不思議に思われている方も多いと思う。その答えは実に簡単なのだ。つまり誰かがホワイトハウスに圧力をかけているからなのだ。いったいその誰かとは何者なのか?
ようするに、それがローマ法王なのだ。ローマ法王・ピオ十二世は次のようなメッセージを世界に向けて発信したことがある。
「いと慈悲深き我らの救世主は、来るべき世紀を予言して、東の国の多くの人々が天国の饗宴に座するため、来り参ずるであろうといわれました(ルカ・13・29)。この喜ぶべき予言が、私の愛する日本に実現しますように…。私は、カトリックの名を持つ世界のすべての人々とともに、日本の繁栄とその幸福のために、全能の神に向かって、次のごとく絶えざる切なる祈りをかかげます。ああ、すべての国々の王、すべての国々の望み、東よりの光、輝かしき永遠の光にして正義の太陽なる神よ…。御身の愛する日本、そして御身の名において私がこよなく愛する日本の上に、御恵みをもたらし給わんことを……」
彼らは日本に期待しているのだ。1999年12月24日、二千年紀を終え、三千年紀を目指す「大聖年の扉」がバチカンの聖ペテロ大聖堂でゆっくり開いたそのとき、大聖堂で満ち溢れるように流れた音楽は、日本の琴の音による「さくら」の調べであった。これが何を意味するか。つまり、21世紀は日本の世紀であることが密かに宣言されたに等しいのだ。
ようするに、これから起こるであろう第3次世界大戦を止め、ネオコンによる単独行動主義(ユニラテラリズム)を阻止する原動力となって欲しい、というローマ法王の予言戦略であり、秘策ということなのだ。
さらに、ここでもうひとつの秘策としての新たな国連構想があることを紹介したい。戦後日本の占領政策を影で仕切った大物、ウィリアム・ドレーパー将軍が生前に側近に伝え、その側近も、しかるべき時代が来るまで封印をしておこうと硬く決意した、禁断の構想でもあるのだ。簡単に説明させてもらうと、それは「宗教国連」という呼び名であるが、実際には「精神国連」といった内容の構想である。サンフランシスコにあるグレイス・カテドラル寺院の僧正であるウイリアム・スイング師は、その「宗教国連」の設立を、2005年においているようである。
その内容は、ようするにISO(国際標準化機構の国際規格)のような「企業」に対する格付けを、今度はアメリカや日本等の「国」に対して指標化しようとしたものである。資本主義に於ける経済的なファンダメンタルには一切関係ない。あくまで一国の非政治、非経済的、非宗教的、非軍事的等の世界貢献度をベースに標準化、或いは指標化して競うマーケットである。そしてこの国際貢献度指標(精神的要因)が高いほど、国連等の国際機関での発言権が自動的に増加する仕組みにして、マーケットの中で国際貢献度(精神的指標)と現実の弱肉強食の競争社会を連動させる試みである。
「戦争反対」をお経のように唱えるのではなく、あくまで人間の限りない欲望を逆に利用した、ある意味でとても現実主義のシステムである。永遠に変わることのない欲に渦巻く人間社会のなかで、「宗教国連」が誕生し、効率主義の正反対の人間性という大切なスタンダードが創造されることになる。それは結果的に愛の精神に基づいた「神のスタンダード」とも言えるものである。
人間は欲望の動物である限り、わずかな「違い」をめぐって争ったり自己主張したりすることを避けることはできない。自由の権利がある以上、私たち国民は人から競争の芽を摘むわけにはいかない。だから今まで何が欠けていたかというと、「精神」や「愛」の市場を創ってこなかったからではないのか。「精神市場」に参加して“努力”し“競争”して「格付け」が上がったときには、「イチロウ」や「松井」のように大きく注目されて、「国家」や「個人」が報われるようになる。
確かに増田俊男氏が云うように、「精神市場」の格付け指標がNYダウやニッケイ225を動かす時代がやってくるのかもしれない。
それでは最後に、アインシュタインが大正11年11月16日から40日間滞在した時に講演の中で語った言葉を引用して、このコラムを終えたい。
「世界は進むだけ進んでその間、いくども闘争がくりかえされ、最後に闘争に疲れるときが来るだろう。その時、世界の人類は必ず真の平和を求めて、世界の盟主をあげねばならない時が来るにちがいない。その世界の盟主は武力や金力ではなく、あらゆる国の歴史を超越した最も古く、かつ、尊い家柄でなければならない。世界の文化はアジアに始まって、アジアに帰り、それはアジアの高峰、日本に立ち戻らなければならない。我らは神に感謝する。天が我ら人類に日本という国を造っておいてくれたことを」
ふうー、何だか今回はとても疲れたなぁ…。
《主な参考文献および記事》
(本記事をまとめるにあたり、次のような文献および記事を参照しました。ここに、それらを列記して、著者に感謝と敬意を表すると共に、読者の皆様の理解の手助けになることを願います。)
★ 力の意志 2月号 編集主幹 増田俊男 (サンラ出版 2004)
★ 沈むアメリカ・浮上する日本 増田俊男 (風雲舎 2000)
★ アメリカ・ネオコン政権最期の強敵バチカン 中見利男 (KKベストセラーズ 2003)
『終』
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