世界の出来事と「共時性」(シンクロ二ティ) No.23【2004年2月18日】
Sボウルでのジャネット・ジャクソンの片乳ポロリ
ADSLの定額制が普及して、日本もインターネットが当たり前の時代になった。では、いったい何にインターネットを利用しているのか。アメリカ等とちがって、日本の場合は、まだほとんどがエロサイトの利用が8割といわれている。アメリカ人の多くは金儲けに熱心で、ファンドや株や債券等の投資に関わるサイトをかなり頻繁に見ているようである。しかし日本の場合は、もっぱら性欲絡みのサイトだけが人気を博しているようである。
しがらみのないアバンチュールを演出してくれる出会い系サイトや、露骨なポルノ写真や破廉恥な性交の動画を見せることで、それらのサイトは男女の性欲を金儲けに結びつけている。無料のサンプル写真や動画で惹きつけておいて、もっと過激で凄いモノをみたければ、クレジットカード番号と自分の名前を打ち込んでください、という具合である。
もちろん、こういうサイトを運営しているのはマフィアや暴力団で、うっかり誘いに乗ってエロサイトに申し込んだ少なくない人達が、どうやらかなりの被害にあっていると聞いている。自分の持っている預金口座からお金が引き落とされるということは、かなりヤバイことなのです。しばらくして、いきなりとんでもない額のお金が引き落とされてしまっても、相手がエロサイトということで誰にもいえないで泣き寝入りしている人達が相当に多いようである。どんな立派に見える人も男である以上(私も含めて)、基本的に、色仕掛けにはとても弱いようである。高い授業料にならないように、お互い
気をつけたいものである。
その関連で少し視点を変えて、2月1日に行われたプロフットボールの王座決定戦スーパーボウルのハーフタイムのショーの中で、歌手ジャネット・ジャクソン(マイケルの妹)の片胸が露出した事件は、全米で大きな騒ぎを起した。このショーはMTVネットワークス社によってプロデュースされたが、MTVのウェブサイトでは、ハーフタイムショーの前から振付師がインタビューで「ショーにはショッキングな瞬間がある」と明言していたとのことである。(
参考記事
)
MTVはアメリカの巨大メディア企業ヴァイアコム社の1部門である。スーパーボウルはCBSによって中継されたが、CBSもヴァイアコムの1部門である。(
参考記事
)
ようするに、このショーはヴァイアコム社によって企画され、放送されたものである。それでは何のためにこんなハレンチな「ヤラセ」が演出されたのか。「CBSをめぐるもうひとつの“事件”を知っているものには、その“事件”からアメリカ国民の目をそらせるためではなかったのか」という疑念が浮かんでくる、と東京大学のドイツ文学教授中澤英雄氏は分析している。
実を言うとこの放送の途中に、草の根民主主義の推進するムーブオン(MoveOn)というグループが広告を流す計画があったのだ。スーパーボウルは全米で最も多くの視聴者が見る番組であることは有名である。当然その広告量は莫大な額になる。にもかかわらず、ムーブオンはこのゴールデン番組にあえてある挑戦的な広告を流そうとしたのである。それは「
Bush in 30 second(30秒でわかるブッシュ)
」というブッシュ政権を批判する広告だったのだ。( 引用記事
)
ムーブオンが全米から広告作品を募集した「Child‘s Pay(ツケは子供に)」が放映される予定だったのに、CBSが突然自社のポリシーに反するといって、この広告を拒否したのだ。アメリカでは、選挙の対立候補のネガティブ・キャンペーンですら一般的である。しかも、この広告はCBSに拒否されるような露骨なものでもないし、もちろんJ・ジャクソンのような公序良俗に反するハレンチなものでもないのだ。
この広告をポリシーに反するといってCBS拒否するということは、ブッシュ批判は許さないという主要メディアの暗黙の圧力である。こうした流れから考察すると、ジャネット・ジャクソンのハレンチな「ヤラセ」は、どうやらそんな風な真面目な政治的な視線を他に逸らせる為の、メディアの最も得意とする意表を突く裏技“お色気戦略”だった可能性が高いようである。
洋画「暴走特急」からの“神の啓示”

たまたまTVのスイッチを入れたらスティーブン・セガールの主演の「暴走特急」が朝日系の洋画劇場でやっていた。1995年の作品で、スペースシャトルの発射シーンから始まる。シャトルから放たれたアメリカの軍事衛星が軌道に乗る。どうやら米軍とCIAの共同開発で作ったものらしく、そのレーザーの照準は、地上で日光浴をする女性の姿さえも鮮明に写すほど精妙に作られている。
そしてそのレーザーは地下や水中奥深くにある活断層を照射することで意図的にズレを発生させて、好きなときに地震を起せるし、マッハで飛んでいる飛行機やロケットでも、いとも簡単にロックオンして一瞬に破壊することができる、と語られる。しかし、このハイテク軍事衛星を開発した天才的な頭脳をもつデインは、かなり危ない性格で、CIAの連中もかなり危険視していたのだが、幸か不幸か彼はある事故で死亡し、ハイテク軍事衛星だけが首尾よく残った感じである。
一方、前作「沈黙の戦艦」の空母のコックをやめたライバック(スティーブン・セガール)は、今は街でコックをしているのだが、喧嘩別れした兄は死に、数年ぶりに姪のサラと再会する。そしてサラと列車で旅行することになる。ライバックと兄はつまらないことで喧嘩したが、仲直りできないままに兄は死んでしまったのだ。そこでシーンが変わり、やはりというか事故で死んだことになっているデインと傭兵のベン一味は、軍の基地を襲撃しヘリを奪う。一味は列車の前をふさぎ、停車した列車に乗り込み、運転士を射殺。と同時に列車にも乗り込み、次々と制圧していく。
たまたまサラにこっそりケーキを贈ろうとして厨房にいたために、ライバックはすぐに捕まらずに事態に気づき、入ってきた一味を逆に返り討ちにする。
デインらは客車に持ち込んだハイテク設備をセット。これで列車が架設の軍事衛星のコントロール基地に早変わりする。しかも計算づくなのか、うまい具合に元の職場の仲間であるCIAの2人が乗っていて、彼らが軍事衛星の制御を奪う暗号コードを知っている設定になっている。昔の仲間からコードを白状させたデインはコンピューターを作動させ、軍事衛星の制御をみごとに奪う。米軍の基地では、衛星の制御を当然奪われ、混乱におちいる。そんな状況の中で、デインは世界中の王様や大金持ちにアクセスして、何か狙って欲しいものがあれば、すぐに照準を合わせて破壊すると宣言する。たちまちアラブの王様や大金持ち連中から申し込みが殺到し、スイス銀行の秘密口座に大金が振り込まれてくる、といったストーリーである。
この映画をいつもの安ワインを飲みながら、ぼんやり見るともなくみていると、突然ある2つの事件が、私の脳裏に何の脈絡もなく甦った。理由は今でもよくわからない。たぶん、神の啓示みたいものかもしれない。
その内のひとつは、スペースシャトル・コロンビア号が、大気圏突入の際にバラバラに分解し、7人の宇宙飛行士が死亡した大事故である。この事故は、不思議な事故であるという記憶が未だに鮮明に残っている。この事故は、アメリカのイラク攻撃直前に起こった。何か潜在意識のどこかに引っかかる奇妙なタイミングである。奇妙なタイミングというのは、この衝撃的な事故は、イラク攻撃直前に起こっているからである。もちろんイラクへの先制攻撃は9.11同時多発テロの延長線上の報復という風に捉えられている。さらに奇妙な共時性的な符号として、事故でなくなったアメリカ人女性飛行士、ローレル・クラークさんの従兄弟は、9.11テロで死亡しているのである。
そういえば1986年のチャレンジャー号の打ち上げ失敗による爆発のときにも、「神の警告か」と囁かれていたのだ。まさにレーガン大統領がソ連と冷戦を戦っている最中で、ソ連の核弾頭ミサイルを人工衛星からのレーザー兵器で破壊するという通称「スター・ウォーズ計画」(SDI:戦略防衛構想)が進められていたのである。
まさにデインのやろうとしていることと瓜二つである。確かにそういう視点で見ると、デインの風貌はアラブ系で、パレスティナ人のように見える。イスラエルやアメリカが憎くて憎くて、ついに自分の開発したレーザー兵器搭載の軍事衛星をアメリカ政府の手から乗っ取って、大気圏再突入時のコロンビア号のもの凄い放射熱にロックオンして破壊してしまうことも可能である、とこの映画は私に、なんの脈絡もなくインスピレーションを与えたようである。
現実として今度の場合は、ブッシュ大統領がサダム・フセインを倒さんとしてのイラク攻撃を前にしての大惨事だった。当時のアラブ人たちの噂によると、イスラムの神アッラーの怒りが雷の一撃となって放たれたことによるものだ、と囁かれていたらしい。さすがにオサマ・ビン・ラディンやアルカイダも手の届かぬ事件と思われていて、彼らに代わってアッラー神が、その調和を地球に再び取りもどすために、アメリカ帝国主義のブローバック(Blowback=逆流)としての報復がなされたと考えられたようである。
確かに1986年に爆発したときのチャレンジャー号のミッション(任務)は、映画「スター・ウォーズ」のように宇宙旅行ができる世界が前提となっていた特別のものだったようである。乗組員は、船長のフランシス・スコビー、パイロットのマイケル・スミス、女性飛行士ジュディス・レズニク(ユダヤ系)、日系三世のエリソン・オズニカ空軍大佐、物理学者ロナルド・マクネイヤ(黒人)、エンジニアのグレゴリー・ジャービス、最後に初の一般人として11000人の志願者の中から選ばれた女性高校教師クリスタ・マコーリフだった。
彼ら宇宙飛行士が夢見た「スター・ウォーズ計画」は、あたかも神(宇宙の調和)に挑戦するかのようなアメリカ覇権主義『新世界秩序』としての「エゴ」に対して、あたかも“神の見えない手”が強力なバランサーとして作用することで、粉々に破壊されてしまったかのようでもある。

その一方で、やはりコロンビア号も特別であったようである。7人の宇宙飛行士の中には、アメリカ人以外の飛行士が2人いた。結婚してアメリカ人となったインド出身の女性飛行士カルパナ・チャウラと、イスラエル空軍のパイロットで1981年のイラク原子炉破壊攻撃に参加した経験を持つイラン・ラモンである。ラモン氏は初のイスラエル人飛行士であり、イスラエルの英雄でもある。祖父はナチスの強制収容所で死亡しており、祖母と母親はアウシュビッツからの生き残りだった。1981年にラモン氏が空爆したイラクの原子炉は建設中であり、やがて原爆を製造してまちがいなくイスラエルを襲うであろうと予測して、核保有国イスラエルは自衛のために、これを容赦なく破壊したのである。「ブッシュ・ドクトリン」も、イスラエルのこのやり方をそっくりそのまま踏襲している。
このコロンビア号のミッションはよく観察すると、アメリカ・イスラエル・インドには共通点がある。つまり3カ国とも「テロとの戦い」を行っている。それと、確かに3国とも、イスラム教でない宗教を「国教」としている核保有国である。
ようするにイスラエルの敵はパレスチナ、インドの敵はパキスタン、アメリカの敵はイラクである。この連中にとって「反テロ」はあくまで口実で、むしろ戦争を仕掛け危機を創造することで成り立っている国家である。つまりイスラムの神アッラーからのブローバックではなくて、もしかしたら「暴走特急」の危ないデインのようなアラブ系の生身の誰かが「スター・ウォーズ計画」そのもののやり方でコロンビア号をロックオンして爆破した可能性も考えられなくもない…というまるで根拠のない霊的啓示に、ワインで酔っ払っているとはいえ一瞬囚われてしまったのだ。
何よりも暗示的なことは、分解したコロンビア号の残骸がバラバラになって降ってきたのは、ブッシュ大統領の本拠地テキサス州だったのだ。そしてコロンビア号の爆発音が最初に聞こえたのが、テキサス州のパレンスタイン(Palestine=パレスチナ)という町の上空だったようである。このことをイスラエルの新聞は驚嘆の思いで報じている。(
参考記事 )
このあまりにもできすぎた「共時性」というか「偶然」は、イスラム教徒たちによると「アッラーの意思」でしかありえないということのようである。そしてその2ヵ月後に、ブッシュ政権はイラクのサダム・フセインに最後通牒を突きつけることで、ついにイラクへの先制攻撃が幕を開けたのである。
「共時性」という不思議
「暴走特急」を見ていて脳裏に甦ったもうひとつの事件は、2003年12月26日午前5時30分にイラン南東部に起きたマグニチュード6.5の地震である。この地震でケルマン州バム市にある建物の約7割が崩壊したようだ。(
参考記事 )
ハタミ大統領は記者会見で、この地震で4万人が死亡したと発表している。このイラン南東部の地震を受けて、ブッシュ大統領は同じ26日、クリスマス休暇を過ごしている地元テキサス州クロフォードで声明を発表、犠牲者とその遺族に哀悼の意を表した上で、被災者への緊急支援を行う意向を表明した。支援の規模、形態などについては、国務省がイランと協議していると説明する。マクレラン大統領報道官はこれについて、あくまで人道支援であることを指摘、大地震を政治利用するつもりは一切ないことを強調している。
だが、イランが追加議定書に調印、久々に関係改善の環境が整いつつある中で、今回の支援が両国の和解に弾みをつけるのではないかとの観測は内外で高まっている。「地震被災者の救済という形にせよ、ここで米国が支援に踏み切れば、追加議定書調印への“褒章”ともなり、大量破壊兵器開発断念に向け、イランに前向きの姿勢を促す要素になる」と見る向きも、ワシントンの中東専門家によると少なくない。
ブッシュ政権は夏ごろに、イラク、アフガニスタン問題の協議という名目で当局者間の協議を秘密裏に行ってきたが、5月にサウジアラビアで起きた自爆テロ事件に、イランで活動する「アルカイダ」のメンバーが加わったとして、協議を中断した経緯がある。しかし、アーミテージ国務副長官は今年の10月28日、上院外交委員会での証言で「相互利益になる問題についてイランと話し合う用意がある」と協議再開を待望する姿勢を鮮明にしていた。
かつて米国が激しく追及してきたイランの核開発疑惑で、ハタミ同国政権はウラン濃縮停止や核拡散防止条約(NPT)の追加議定書への駐印を受け入れた。だが、この柔軟姿勢は、国内での権力闘争を続ける改革派と保守派双方が国連安保理事会への問題送付を狙ったアメリカの恫喝の動きに危機感を感じたために、仕方なく戦略的に受け入れた結果だったといえるのだ。
だから保守、改革両派の間に、対米関係改善をめぐる戦略的な合意点は、今のところない。とりわけブッシュ大統領はイランを「悪の枢軸」と名指しで批難して、イランのイスラム体制そのものを「敵視」しており、現体制との直接的な関係改善はかなり難しい状況である。ただ、イラク情勢をめぐっては「反フセイン」でアメリカと潜在的な利害を共有してきた部分はあり、戦後イラクをめぐっても、アメリカは、イラク南部のイスラム教シーア派に一定の影響力を持つ隣国イランを、「コントロール可能」な形で、イラクをめぐる構図の中に位置づけておく必要に迫られているのが偽りのない現状である。
そんな状況の中で、イラン大地震が起きたのである。アメリカにとってこれ以上は考えられないくらいの、なんとも素晴らしいタイミングである。もちろん私は、映画「暴走特急」の中の天才的頭脳を持つデインや通称「スター・ウォーズ計画」のように、誰かが軍事衛星のレーザー砲を使って活断層を照射することでズレを起して、イランに人工的に地震を発生させたにちがいない、と言っているわけではない。そんなことを言える証拠を、私は何ひとつとして持っていない。
いま私が言えるのは、不思議なくらいのタイミングの良さであり、事件の奇妙な共時性的な関連についてだけである。イラク南部のシーア派を、何とかアメリカがコントロールしたかに見える状況下で、小泉首相がいつもの詭弁を押し通すことで、ついに憲法違反であるサマワへの自衛隊派遣が現実のものとなってしまったのである。これは間違いなく、日本の歴史の誤った分岐点として刻まれるにちがいない。
最後に、すこし「共時性」というものに少し触れてみたい。それは、人間の心の中で起きることと外界で起きる出来事、つまり内なる世界と外なる世界と微妙なつながり方を説明している。C・G・ユングはこの考え方を共時性(シンクロ二ティ)とよび、“意味のある一致”と定義しました。共時性は、こういうつながり方を私たちの日常生活の中で現れてくる様子を示しています。東洋の心は、私たちと他の人たち、また私たちと宇宙の間に潜在している見えないつながりについて昔から考えてきたのです。これこそが世界の本質的な“存在”(リアリティ)であり、東洋はそれを「タオ(道)」と呼んできたのです。
思いがけない出来事、夢、思いがけない出会い等について何かを感じた人は、そういった事柄には見かけ以上の深い意味があるということがわかるのです。それは、具体的な事実や論理的な推理の世界よりもずっと大きくて広い世界をのぞく“窓”なのです。そしてまた共時的な出来事というものは、私たちを、私たちの内部にある何か特異なものと結びつけるとともに、私たちと他の人たちとのつながりをも明らかにしてくれる。
たとえば『易経』の占いは、問いを発する人が共時性を通じて慎重な“リーディング”(世界をよむこと)をするための方法です。それは、その時とその状況とに適合した行動の仕方や生きてゆく態度について、私たちに教えてくれるのです。それによって、私たちと自身と他の人々との間、あるいは私たちと事物との間に見えないつながりがあるということが見えてくる。共時性は、私たちの人生における意味深く直感的に知られてくる原理を私たちに結びつけてくるという点で、非常に価値がある。ある意味で、私がこの『ニュースの落とし穴』のコラムを書くという行為は、共時性を通じて“リーディング”するという『易経』の占いのやり方と似ていなくもないのだ。
とにかく私たちは共時性によって“こころの道”(
path with heart )を発見してゆくことになる。もっとも深いレベルでは、共時性は、私たちが私たち自身よりはるかに大きい何ものかの一部分であるということに気づかせ、自己性の中にある全体性の感覚に目覚めさせてくれるのだ。フリッチョフ・カフラは『タオ自然学』の中で、簡単に要約すると、大体次のようなことを述べている。
「現代の原子物理学は、東洋の神秘家が実在について抱いた直感的な見方と非常によく似た実在の見方へと私たちをみちびいている。量子力学から生まれてきた実在の像は、相互に関連しあった宇宙的な蜘蛛の網のようなものであって、そこでは、観察者である人間は常に現象の参与者でもある。素粒子レベルの世界像は、非常に東洋的で、また神秘的なものになっている。時間と空間は連続体となり、物質とエネルギーは相互に変化し、観察者と観察されるものはお互いに作用しあう」
それと同じことを心理学者のユングは、外界の出来事を観察する人間の魂(psy
che )は、その時それらと相互作用をしていると考えているようである。ユングによれば、「共時性」とは、因果関係によらず物事を結びつけている原理であって、それは意味のある一致“同調”(
meaningful concidences )において示される。ユングは次のような例を挙げている。
たとえば、ある女性が彼女の妹の家が燃えているハッキリした夢を見て、妹が安全かどうか電話で叩き起こしたところ、まさにその通り火事になっていて、妹は電話で目を覚ましたために命拾いをしたというような例である。あるいは、ある研究所が高度に技術的でわかりにくい問題にぶつかって情報が得られずに困っているときに、ある基金募集のパーティに出席したところ、たまたま隣の席に座った人がちょうど必要な情報を提供してくれたという具合である。
またある女性がある町にやってきて、昔の同級生に連絡を取ろうとしたけれども住所がわからず、混雑したエレベーターに乗り込んだところ、たまたまその彼女がすぐ隣に立っていたという具合である。私、千葉邦雄もよくそんな現象に出会うのだ。たとえばある昔の友達のことを懐かしく思い出している時に、たまたま電話がかかってきて受話器を取ると、驚いたことに、その友達の声が受話器の向こうから聞こえてきたりする、といった具合である。こんなことは話し出したらキリがないくらいあるんだなぁ。
とにかくこういった例はすべて、「共時性」を示している。ドラマティックなものからごくありふれたことまで色々である。どの場合でも、私たちはその一致にびっくりするが、どうしてそうなったかはさっぱりわからない。そういった出来事は、直感的に何か意味のあることにちがいない、そこには目に見えない未知のつながりや道がある、という可能性が示される。
ユングは、この現象を「共時性」と名づけたのです。彼の言葉を最後に、今回のコラムを終えたいと思う。
「共時性について理解することは、私たちにとって非常に神秘的に見える東洋の全体性についての考え方に対して、その扉をひらく鍵である」
《主な参考文献および記事》
(本記事をまとめるにあたり、次のような文献および記事を参照しました。ここに、それらを列記して、著者に感謝と敬意を表すると共に、読者の皆様の理解の手助けになることを願います。)
★ タオ心理学 ジーン・シノダ・ボーレン 監訳 渡辺 学 (春秋社 1987)
★ アッラー神に電撃されたスペースシャトル・コロンビア号
吉外井戸のある村
★
ジャネット・ジャクソン事件とムーブオン
萬晩報 2004 年
02 月
14 日(土)
中澤英雄(東京大学教授・ドイツ文学)
★ 宇宙からのメッセージに耳を傾けよ――スペースシャトル事故と迫りくるイラク攻撃
中澤英雄(東京大学教授・ドイツ文学)
『終』
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