すべては赤い糸でつながっている
2 No.21【2004年2月6日】
古賀潤一郎衆院議員の学歴真偽問題
この問題のメディアの注目度は、ちょっと異常なものを感じる。あまりの加熱ぶりに、ある種の魔女狩り的なものを感じてしまうのは、本当に私だけなのだろうか。こんなことを言うと古賀氏を批難しておられる方々は腹を立てられるかもしれないけど、古賀氏は、ある意味で日本人のもつ弱さの象徴のような気がして、何だかとても可愛そうな気がしてしまうんだなぁ。(
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平成の私たちは、あまりにも表面的な目にみえるモノに価値を置きすぎる故に、表面を取り繕ってしまうことになる。
No. 18のコラム「 エゴは鏡に映った『影』である
」で詳しく書いたように、 あくまで内面的な豊かさを求めるのではなく、物質的なものを求めるということは、結局のところ自分が他人よりも優れていることを、示さなければ収まらなくなってしまうということなのだ。より多くを手にいれようとし、より多くを周りに無神経に要求し、エゴをますます増長させていくことになる。
そしてふと気がつくと、私たちは物質的なものに囲まれた生活がすべてだと思い込むようになっている。当然他人よりも自分が優れているのだと本気で信じ込み、対人関係の第一の鉄則は、その相手よりも常に自分のほうが勝ること、という風になっていく。その結果として、なおさら自分の外にある物質的な確かな目に見えるものに慰みを求めて執着してしまう。だからデフレ経済で収入が減っているにもかかわらず、銀座や六本木ヒルズ等のブランド品や、アメリカ留学という華やかな肩書きを求めてしまう。
エゴという私たちの鏡に映った「影」は、常に私たちを攻め立て、心の安らぎを得るためには、もっと多くのものを手に入れなければならない、と暗示をかける。エゴは、あくまで目に見える外にあるものを基準にして自分を評価することを、私たちに教え込もうとする。目に見える外にあるものに基準を求めるということは、鏡に映った幻影を追いかけることであり、エゴの求める「間違った方向に目を向ける」やり方に、まんまと嵌められてしまうことになる。そして私たちをして、常に外の意味のない現象に意識を縛りつけさせる。心の安らぎや豊かさや生きる意味や愛情さえも、外に求めるように仕向けるのだ。
そういうわけで古賀潤一郎議員は、私たちのエゴの象徴でもあり、私たちの情けない弱さの象徴でもあるのだ。もし米国ペパーダイン大学卒業詐称やエクステンション・スクールに参加しただけの
U.C.L.A(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)等の疑惑が真実とするなら、その責任を古賀氏は取らなければならない。
と同時に、民主党と自民党の血みどろの戦いに、強力な山崎拓(元自民党幹事長)を追い落とすために、彼の肩書きは、彼が望む以上に華やかに演出されたかもしれないという政治の裏の台所事情を、私たちは知っていなければならない。
もちろん今回の異常な古賀潤一郎氏の学歴疑惑リークの裏には、自民党の力が強力に働いているようである。その物凄い政治利権の攻めぎあいの混乱の中で、元社民党の辻元清美議員のように、彼もまた消費されてゆく可能性が高い。出来ればこの試練を乗り越えて、本物となって復活して欲しいものである。古賀潤一郎衆議院にまつわる華やかな「幻影」は、私たちのエゴが、平成の世の中で追い求めている「幻影」である。私たちのエゴが、「古賀潤一郎衆議院」を創りだしたのである。
その一方で小泉首相は、この際に古賀氏の学歴スキャンダルを煽ることで、自衛隊イラク派遣問題から国民の注意を逸らそうとしている気配も、なんとなく感じられる。つまり、そういうことなのだ。
極東アジアでの鳥インフルエンザの猛威
いま地球上で経済成長率が一番高いのは中国である。去年に1年間の
GDP・国内総生産は、新型肺炎(SARS)の影響を受けながらも、当初の見込みを大きく上回り、過去7年間で最高の9.1%となったと発表している。輸出や鉄鋼などの素材産業の好調が理由と考えられる。故に、いま中国を一番敵視しているのはアメリカである。もちろん日本に対しても、これまでも財務省や日銀を操ってデフレを強いることで、アメリカは自国の経済を繁栄させてきたのである。はっきり言って、今のアメリカのブッシュ政権は自国のためなら手段を選ばない政権といえる。
そういう状況の中で今度は鳥インフルエンザが、中国を中心としてタイミングよく発生したのである。中国中央テレビによると、中国農業省は2月3日、広東省潮州市で報告されていた高病原性鳥インフルエンザの家禽類への感染疑い例について、感染を正式に確認するとともに、新たに柑粛省と陜西省でも疑い例の報告があったと発表した。中国の31省・自治区・直轄市のうち、感染が確認または疑い例が確認されたのは、計12地区21箇所に上り、内陸部に向けて感染が拡大していることが明確になった。
タイでは3日、鳥インフルエンザの感染が確認され、入院中だった男児(7つ)が死亡、同国での鳥インフルエンザの死者は4人となった。ベトナムでは同日までに9人の死亡が確認されており、両国を合わせた死者は13人になった。世界保健機関(
WHO)は3日現在、死者の合計は12人としている。インドネシアは3日、同国内で鶏などへの感染が確認された鶏インフルエンザについて、タイやベトナムで使者が出ている高病原性のH5N1型のウイルスであることが確認された。(
鳥インフルエンザ分布地図
)
歴史を遡ると1998年の冬、アジア産の家畜を媒介とするインフルエンザが大流行する構えを見せている。その前年の香港のように、数十万派のニワトリを屠殺するだけで封じ込められるほど幸運ではなかった。A型鳥インフルエンザ(
H5N1)として知られているこの殺人インフルエンザは、広がるのに適した気候条件さえ整えば、いつでも襲いかかってくる。ここで元英国諜報部MI5のジョン・コールマン博士の著書「300人委員会凶事の予兆(1999年出版)」から一部引用してみたい。
「私の推定では、鳥インフルエンザH5N1が突然中国の大衆を襲ったのも、突然の大流行という点に関して言えば、偶然ではない。幸いこのウイルスは人と動物の障害を飛び越えるのが遅かった。それだけが世界的な流行にならなかった理由で、そうでなければ1919年の『スペイン風邪』のとき以上の人間が殺されていたにちがいない」
「私の複数の情報源は、鳥インフルエンザH5N1には鍵となる遺伝子的要素がひとつ欠けていて、それが人に移っていくのを妨げたと確信している。さらに、このウイルスを作り出した生物兵器戦争(CAB)研究所が、計画段階に戻って、ニワトリからヒトへの渡りをできなくしている遺伝子構造を克服するために全力を挙げていることについては、確信以上のものを持っている。ここでリメイクされたH5N1は伝染病という規模で登場し、新しく備えた、動物からヒトへの障害を乗り越える能力によって人類史上最悪の殺人伝染病のひとつになる、と」
(引用終了)
1999年のジョン・コールマンの予言から5年後の冬に、いま極東アジアで再び鳥インフルエンザが猛威をふるうなかで、どうやら予言どおり、ニワトリからヒトの垣根を間違いなく超えたようである。なんとも嫌な流れである。
さらに、インフルエンザ注射に対して、コールマン博士はこんなことを述べている。参考にするだけの価値があるので引用してみたい。
「マスコミは毎年、いかにも説得力のあるやり方で、大規模なインフルエンザの予防キャンペーンを繰り広げる。これには通常3つの段階がある。第1段階は全国的なニュース報道で、大手テレビネットワーク、通信社、ラジオ、新聞などを総動員して、間違いない事実として宣伝する。いわく、『今度の冬には新型でとくに悪性のインフルエンザ・ウイルスの変種が登場する』
「第2段階では警告で、『この冬はインフルエンザ注射が不足する』、供給はまず老人、つぎが子供だといわれる。その間じゅう、インフルエンザの注射を受けるのは国民すべての義務だと強調される。
「第3段階では『かつてない需要の高まりで供給が追いつかない』と再び全国的に報道される。パニックを起すようなこの発表は医学の権威の誰からも支持されないのだが、それでも数千万の米国人に、『インフルエンザの予防接種を受けないととても危険だ』と信じ込ませるには十分だ。こうなると競争だ。それもものすごい勢いだから、誰も立ち止まって問いかけたりはしない。考えてみればすぐに分かることだ。インフルエンザのウイルスは2000種以上知られているのに、どうして1回の注射でカバーできるというのか。当局は、『とくに悪性のインフルエンザ変種』が通常のインフルエンザの予防接種で防げるなどと確実なことがどうして言えるのか。
「その『悪性の』インフルエンザ・ウイルスが具体的にどのタイプなのか、政府は知っていると言うのか。もしそうなら、黙って流行させておくはずはあるまい。さらに、我も我もと押しかけて受けるインフルエンザ注射の中味が正確に何なのか、誰も語ろうとしない。あなたは知っているだろうか。あなたのかかりつけの医者は教えてくれたか。医師に尋ねてみたか。答えがどちらも『ノー』だからといって悩むことはない。皆、そうなのだ。誰も知らない。きっと、あなたの医者も知らないのだ!」
「科学・生物兵器戦争の専門家が教えてくれたところでは、インフルエンザ注射には、致死率の高い豚のインフルエンザからとった変種が3種類入っていて、幼児と老人には危険だということだ。『過剰人口』を抑制するのにこれ以上の方法があるだろうか。若年層は再生産される前に殺してしまえるし、不要な老人を除くのにもこれほど簡単な方法はない。女王エリザベス2世はアフリカ旅行中、『世界人口過剰』と発言し、『人口過剰はアフリカが直面する最大の脅威』と言った。おそらくインフルエンザ注射は、直接には殺さないまでも、人々を弱らせておくための手段なのだ。そうしておけば、エイズ関連の合併症やC型肝炎を持ち込んだときに、数千万人の不要人口を抹殺することができる」
(引用終了)
私たち日本人には、何とも不気味な発言に聞こえるが、欧米の伝統的な支配層にとって、一般の国民はモルモットのようなものかもしれない。確かに人口の多いアフリカのジンバブエやボツワナでエイズの感染率が高くなっているから、今度は中国やインドがターゲットとして狙われてもおかしくないのかもしれない。アメリカの仮想敵国である中国が、何しろものすごい経済成長を成し遂げているわけだから…。
仲良しブッシュ・小泉同盟と「ザ・ラストサムライ」「新撰組」等の戦争ファンタジーの関係
「最近主要メディアが右翼化している」とニュースの落とし穴のコラムで、私は何度か言ってきている。その流れを、直感的に不自然に感じているからだ。社民党の土井さんの人気が急激になくなり、将来を期待されていた辻元清美議員は些細な問題に紐をつけられるようにして、あっという間に削除されてしまった。
それに今まで平和を常に軸にしてきたはずの公明党ですら、最近は妙に右翼化してきていて気味が悪いんだなぁ。ネオコンがキリスト教原理主義(
コラムN
o. 7ウォール街の株価はすべてを知っている )をうまく取り込んでブッシュ政権をうまく操っているように、小泉政権も最近は公明党をうまく利用しているようである。本来の憲法に従えば、宗教と政治は分離していなければならない。それが民主主義国家の基本であるはずである。自分の言うことをきかない国に対して先制攻撃も辞さないと堂々と表明した歴史上稀にみるブッシュ政権のイラク攻撃を、小泉純一郎は、属国よろしくいの一番に支持してしまったのである。(
参考記事 )
もちろんイラクや日本の国民のことなんかまるで眼中になく、とにかくイラク占領軍であるアメリカのご機嫌を取りたかっただけである。イラクのサマワへの「自衛隊派遣」も、表向きは「国際貢献しないでどうする?」と言う茶番発言を繰り返していたが、本当のところは憲法なんてどうでも解釈できると思っていて、ただただブッシュ政権の方角だけを見つめているのである。
そんな雰囲気のなかで、「ザ・ラストサムライ」はハリウッドでリリースされ、「新撰組」はNHKの大河ドラマとして時流の人気者を起用してタイミングよく放映されている。マスコミではほとんど話題にならないが、ハリウッド映画はアメリカの政治プロパガンダ機関なのである。多くの映画ファンからお叱りを受けるかもしれないが、少し気をつけて映画を観察していると、見事なまでにアメリカの政治戦略のサポートを、意識されない娯楽情報等を通しておこなっているのだ。
「ザ・ラストサムライ」のあらすじは、アメリカ軍人オールグレン(トム・クルーズ)は、明治初期の日本に軍事顧問として派遣される。彼を雇うのは、明治政府にハイテク武器を売り込もうとする先端武器会社である。彼の役割は、政府に反逆する参議「勝元」(渡部謙)一派の反乱軍を討伐するために、貧しい農民上がりの新政府の兵士たちに銃の使い方を教え、新しい戦い方を教えることである。
ところが戦闘中に捕虜になってしまったオールグレンは、勝元一派の村で暮らすようになる。彼らの村で暮らすうちに、伝統的な武士道に生きる勝元等に惹きつけられ、やがて彼らの一員になって戦うようになってしまう(確かに、これらのシーンは「七人の侍」の影響をかなり感じられる。同じくNHKの大河ドラマ「武蔵」も、「七人の侍」の模倣が多すぎると、故黒澤監督の息子である黒澤敏雄に訴えられている)。
時代は1877年に設定され、西南戦争がモデルになっている。オールグレンは南北戦争の英雄なのだが、そのとき彼は、インディアンの戦士ばかりではなく、村の女、子供までも虐殺してしまう。そのせいで未だにその記憶が脳裏にはりついてしまって、時々悪夢となって彼を襲う。彼は酒におぼれ、その罪悪感から逃れるために、極東の果て、太陽のいずる国日本に行くことを承諾する。
勝元軍と新政府軍の戦いは、まるでイラクとハイテクを駆使したアメリカ軍の戦いのようである。剣と弓矢しか持たない勝元軍は、最先端の新式銃で武装した政府軍に、まさにイラク人のように殲滅される。勝元が象徴するのは、武士道という「精神主義」である。そして彼に対立するのは、ハイテクを信仰する「物質主義」の導入に熱心な「大村参議」(原田真人)である。
物質主義の大村は、アメリカの武器商人から賄賂を受け取るいわば悪役である。勝元は、文明の利器である鉄道を襲撃する故に、精神主義である(このシーンは西部劇みたいで、なんだか白人対インディアンの戦いを連想してしまうような脚色である)。確かに勝元は、アメリカ人が美化した精神主義の武士道の中に生きている。「精神主義」は、物質主義の物量とハイテク軍事力の前に敗れはするが、その精神性において物質主義に勝っているという具合である。アメリカ人は、よく日本人の気持ちを判っているんだよ、という感じである。まさに父親のような良き理解者ぶっていて、逆に不自然なものを感じてしまう。
「精神」と「物質」の対立は、今やアメリカの問題でもあり、勝元の村に来て、霊的なものの重要さがわかり、魂の平安を取りもどす。そしてオールグレンはインディアン虐殺の悪夢から、ようやく開放される。武士道という精神主義の日本が、オールグレンの魂の救済の地となるのである。オールグレンが政府軍との戦闘で、政府軍側にいたハイテク武器会社の上司たるアメリカ軍人を殺すのは、ハイテク軍事国家であるアメリカへの反逆でもある。精神主義のサムライ勝元(日本のインディアン)とともに戦うことで、オールグレンがインディアンに対して犯した罪の贖罪が果たされるのである。
まさにこのタイミングでハリウッドで制作されているだけに、アメリカの中道派が日本人の気持ちをうまく取り込んでまるめ込もうとしている感じであり、気の合う者同志なんだから、イラクで一緒に仕事をしようぜ、といった風である。そういう捉え方をすると、このハリウッドのプロパガンダ映画はなかなか手の込んだ見事な造りである。私でさえ、うっかり引き込まれそうである。
オールグレンが日本に派遣されたのは、ハイテク武器会社が明治政府に武器を売り込むためである。近代化に熱心である明治政府はフランス、ドイツ等のヨーロッパ諸国から法制や様々なインフラを導入しようとするが、アメリカから導入するのはハイテク武器だけなのである。まさに超ハイテク国家アメリカへの巧みな自己批判さえも、自らやってのけてみせているのである。これは相当にアメリカの中道派が熱を入れて一生懸命創ったもののようである。
最後のシーンで、若き明治天皇は、アメリカのハイテク武器会社と契約を結ぼうとしている。そこに、勝元の形見の剣を持ってオールグレンがはいってくる。天皇は勝元の刀(武士道の象徴)を受け取り、武器取引で私腹を肥やそうとしている大村を解任し、アメリカのハイテク武器会社との契約を破棄する。武器商人は憮然として御前から去っていく。勝元は死に、サムライ(精神主義=武士道)の時代は過ぎ去った。その後、物質資本主義をひたすら走ってきた日本は、いまや先制攻撃も辞さないハイテク軍事国家であるブッシュ政権の言いなりになって、小泉首相はめちゃくちゃな屁理屈でもって自衛隊派遣を正当化して、サマワに自衛隊を送り込んでしまった。
アメリカの帝国主義に盲従することが武士道精神と勘違いした小泉純一郎は、これから日本を単なる軍国精神(平成人が考える独りよがりな武士道)を復活させようと企んでいるのだろうか。またしても溜息が出てきてしまうなぁ…。
これらの3つの最近の出来事は、目に見えないところでしっかりと繋がっているようなのだ。最後にこのコラムを書くに当たって、いつもメールを戴いている那覇市に住んでいるアキラ君の提案が、とてもヒントになったことを付け加えておきたい。
《主な参考文献および記事》
(本記事をまとめるにあたり、次のような文献および記事を参照しました。ここに、それらを列記して、著者に感謝と敬意を表すると共に、読者の皆様の理解の手助けになることを願います。)
★ アメリカの贖罪と救済―『ラストサムライ』の中の「インディアン」 萬晩報 2004年1月8日(木) 中澤英雄(東京大学教授・ドイツ文学)
『終』
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