「日本叩き売り」の小泉構造改革 No.9【2003年12月3日】
竹中マジックによるりそな銀行救済
2003年5月、日本のメガバンクであるりそなホールディング・グループに、公的資金の注入が発表された。またしても事実上破綻している銀行を、国民の貴重な「虎の子の預金」で救済することになった。これでりそな銀行は国有銀行となったが、小泉首相と竹中平蔵財政金融相は、「金融危機ではない。預金者を守るために必要な措置」とメディアに誇らしげに語る。
つい半年前に、竹中平蔵は自信満々に「改革行程表」をぶち上げて、「大きすぎて潰せない銀行はない」とあちこちのメディアに大見得を切っていたのに、だ。あまりにも不自然な流れである。なぜ突然方針を変更したのか?
りそな銀行グループは、他の4大メガバンクと違って、国内業務専門の銀行なのである。旧大和銀行グループは、1995年のニューヨーク支店巨額不正事件でアメリカから追放されて以来、国内のリテール業務、中小企業や個人相手の銀行業務に徹せざるを得なくなっていたのだ。
そして1997年の金融危機以降は、大蔵省の指導にしたがって、近畿地区で破綻した関西地区の地銀、なみはや銀行(旧福徳銀行と旧なにわ銀行)等と合併させられたのだ。
その上さらに4大メガバンクの再編タイミングに乗り遅れたために、終いには、負け組み同士のあさひ銀行と合併させられるはめになってしまった。こういった経緯を考えれば、りそながいずれ破綻することは、火を見るよりも明らかだったといえる。確かに、決算発表の2ヶ月前から、「りそなグループは3月決算を乗り切れない」といった噂が流れていたし、日経平均株価がバブル崩壊後の最安値7862円をつけた3月11日には、間違いなく「国有化される」と記者たちのあいだで、当然のごとく語られていた。
なのに、突然、りそなは救済されたのだ。一体何が起こったのか?国民には皆目見当もつかなかった。もちろん、竹中平蔵金融相がいつもウソぶいている「一般の預金者を守るため」でもなさそうだった…。
結論から言うと、りそな国有化のどこかの時点で、おそらく日本の金融システムは崩壊寸前になっていたにちがいない。それで小泉首相は、これ以上金融システムと株価が悪化するようだと抵抗勢力と経済界にやり込められる破目になってしまう故に、5月22日、23日にブッシュ大統領のクロフォード牧場で、二人だけの密談を交わしたのだ。
そしてりそな銀行グループをハゲタカファンドから守ってくれるように、ブッシュ大統領にお願いしたと考えられる。そのかわりに、アメリカのイラク占領に対して、早期自衛隊派遣と思い切った資金援助を裏取引として、ブッシュに約束したにちがいないのだ。もちろん、お互いの再選を誓う再選同盟も、この時にしっかりと交わしたにちがいない。
そして万が一の危機に対して、日銀は、流動性確保という名目で約1兆円、さらに当座預金として約30兆円まで積みまして、取り付け騒動パニックに備えていたと思われる。銀行が潰れるとわかると、預金者はいっせいに解約に走る。木津信金や北海道拓殖銀行が破綻したときのように、特に大口預金者ほど、解約に血眼になる恐れがあるからだ。そうなってしまうと、どんな銀行も一巻の終わりである。
だから政府と日銀は、なんとしても危機を避けるために、預金保険法第102条にもとづいて、破綻後の資本注入ではない、「銀行側からの要請」というスタイルを前もってとって安全策を計ったことになる。しかし、この理屈は一見まとものように見えるが、どうもすっきりこない。
恐怖のヤクザ闇コネクション
何かが不自然で、5月のあの時、私は本能的な違和感を抱いたことを、未だに憶えている。2002年4月に、すでにペイオフ延期が決まり、定期預金でさえなければ、とりあえず一般の国民の預金は守られることになっていたはずである。だから、すでに国民の取り付け騒ぎなど起こり得ないはずなのだ。
ということは、つまり、りそな銀行の破綻前の公的資金2兆円注入の理由は、国民の取り付け騒ぎから起こる金融危機ではないのだ。それはあくまで表向きの創られた理由であって、政府による破綻前の救済の本当の理由は、もっと別のところに隠されていたことになる。
ようするに、巷の噂どおり、ヤクザ闇社会による大口定期預金が、まだ相当存在していたということになる。なぜなら、ヤクザ闇社会に融資する場合も、融資額の2割ぐらいは担保として定期預金を積ませているからだ。このヤクザ連中が、かならず「金を返せ」とやってくるにちがいない恐ろしさに故に、政治家や官僚たちが、早々と約2兆円の投入を決めたと思われる。
ところが、それでもやはり変である。りそなは国際決済をすでに行っていないので、自己資本比率は4%をクリアすればいいのだ。そして資本注入前のりそなの自己資本比率は2.07である。自己資本率の余裕を持たせて6%で計算してみると、公的資金は8000億円で十分なのである。それが約2兆円も投入するわけだから、なんと12.2%にもなってしまう。これはどう考えても不自然な数字である。まちがいなく、ここにも深い闇がある。
今一度基本に戻って考えてみよう。何よりもりそなが破綻して最も困るのは、りそな銀行の株主である生保の朝日生命やゼネコンの長谷工、或いはマンション分譲のダイヤ建設等の不良債権企業群が最も慌てるはずである。りそなが破綻すれば、りそなの株価は当然ゼロになり、結果として自分たちも破滅してしまうことになる。
日本の預金保険法第105条によると、株主も経営者も破綻の責任を取らされることになっている。しかし破綻前の公的資金の注入であれば、ふざけたことに、株主責任は逃れられることになっている。これは市場ルールを完全に無視をした、はっきり言って国家ぐるみの犯罪といえる。りそなの国有化で、またしても日本の国民は、政府という手品師の罠にまんまと嵌められたことになる。おそらく、りそなが破綻すると直感したとき、金融庁をはじめとする官僚たちの脳裏に浮かんだのは、ヤクザ闇社会からの脅迫だったにちがいない。
確かに、この不況の時期、不可思議な死を遂げた官僚や銀行家たちはかなり多い。自分の大切な命を落としたくない故に、政治家や官僚たちが、相当の余裕枠のある2兆円という金額を投じることに決めたようである。つまり、自分たちの命を100%安全にするために、ヤクザ闇社会に潤沢な資金が流れ込むようにしたのである。
2003年7月19日、 NHKが驚くべきスクープをした。旧大和銀行が2001年9月の中間決算の時点で、すでに自己資本が不足していたと伝えたのだ。りそなの前身である大和銀行は、自己資本比率を10.06%と発表したが、その後の金融庁の調査によると、繰り延べ税金資産が過大であり、本当は4%をかなり下回っていたらしいのだ。
これは、すでに破綻状態であったことになる。慌てた金融庁と銀行幹部は、グルになってこれを隠す方向に走った。その結果、2002年3月の決算では、見事に8.24%の自己資本比率を確保することができた。それも、たった半年で改善されてしまったのだ…。
これは誰が見ても不自然である。ということは、金融庁と大和銀行はグルになって、この2年間国民をだまし続けたことになる。不良債権の切り離しである「飛ばし」をしたのか、或いは数字上のインチキをしたのか、ハッキリしたことは私たちにはわからない。ともかく終いには、あさひ銀行まで巻き込んで、5番目のメガバンクとして「りそなグループ」を演出してまで逃げ切ろうとしていたことは確かである。しかし結果的には失敗し、予想どおり、やはり最後のツケは国民に回ってきたわけなのだ。
りそな銀行グループは、不良債権の粉飾経理をずっとやってきていたのだ。ベンジャミン・フルフォード氏の著書「ヤクザ・リセッション」によると、りそなというより、りそなにぶら下がることで救済された関西の破綻銀行は、全部これをやって潰れたらしい。少し引用したい。
「福徳銀行は昔から公然と、『暴力団の貯金箱』といわれ、山口系のヤクザ・カンパニーに巨額の融資をして、それが焦げ付いて潰れた。その結果、破綻時には元頭取が逮捕されている。福徳銀行となにわ銀行が一緒になってなみはや銀行になったときも、『山口組のメインバンク』といわれたが、わずか一年しか持たず、旧大和銀行に吸収されている。
つまりりそなは『飛ばし』にかけて年季が入っているのである。しかも金融庁はこのことを百も承知なのである。そもそも金融庁とグルなのだから、2兆円投入後の『国立りそな銀行』がなにをするかは、もうおわかりだろう。
まずは、飛ばし先に隠してきた自行の不良債権処理。次に、共同融資で焦げ付いている他のメガバンクの不良債権の飛ばしの受け皿になるにちがいない。そして、さらにお金が余れば、ゼネコン、不動産、流通などにある問題債権の放棄を行うか、あるいはさらに貸し込めばいい。そうすればそれらのゾンビー企業は一挙に身軽になり、融資をしている他のメガバンクの負担も軽くなる。これは実質的な迂回融資だが、なにしろ国自身が違法行為をするのだから、誰も止められないだろう」
結局、りそなは金融庁と歩調をあわせたものの、監査側を抱き込めず、事実上破綻した。そしてりそなの監査チームの一員だった国内最大手の監査法人「朝日監査法人」に勤める会計士は、不可解な死を遂げている。5月24日、自宅のマンションから飛び降りて死んでいるのを発見されたのだ。遺書がなかったにもかかわらず、なぜかすぐに自殺と判断されている。
その一方でゴールドマン・サックスにサポートされたリップルウッドが、旧長銀をたった10億円で買い取ったのだ。そして、その新生銀行が来年早々、株式再上場を果たすのだ。平成12年3月にわずか10億円で買い取ったとき、おまけに瑕疵担保条項(譲り受けた債権が2割以上毀損したら、日本政府が簿価で買い取ってくれるという権利)までセットになっていた。長銀を引き継いだ新生銀行は、この瑕疵担保条項をフルに利用して、貸しはがしを徹底的に進めたようだ。
そして権利行使の期限である5月までの累計で、321社1兆1702億円にも達した。実に不良債権の4割にもなる。政府に4割も買い取ってもらえば、はっきり言ってどんな素人でも経営できてしまう。その上来年1−3月に株式上場の野望を果たせば、まさに濡れ手にアワで、さらに1兆円以上の上場益が懐に入ってしまう。それだけじゃないのだ。もっというと、政府が国費6兆9500円を投入してすっかり身軽になった後で、10億円でリップルウッドにプレゼントしたのだ。普通のビジネスでは、こんな美味しい話は絶対にありえない。
これは常識をはるかに超えた取引である。もちろん、アメリカは経済活動を戦争と位置づけていたから、クリントン時代のルービン財務長官などは、経済戦争の司令官として、いかに日本を打ち負かすかという視点で対日政策を遂行してきていたことは、ほぼ間違いない。その後のブッシュ政権のフリードマン大統領補佐官も、ゴールドマン・サックスの元会長である。日本政府は、こうしたアメリカの戦略に何の対抗手段も持たず、簡単にアメリカの言いなりになってしまった。
特にルービンとサマーズの時代には、日銀、旧大蔵省は、彼らの指導にしたがってすべて動いていたという。とくに旧大蔵相には、ヘッジファンドとつるんで、情報をゴールドマン・サックスにリークするような人がかなりいたらしい。だから日本政府が、旧長銀のファイナンシャル・アドバイザーにゴールドマン・サックスを指定したという時点で、すでに「長銀の叩き売り」が決まっていたと考えるのが正しい。
新生銀行(旧長銀)は、同行の取締役ティモシー・コリンズ氏と、同じく取締役クリストファー・フラワーズに対するアドバイス料それぞれ11億円、二人で22億円については、負担しないと表明したが、ニュー
LTCB・BVに対する26億9100万円については、すんなりと支払いを表明したのだ。なんとも信じられない額のアドバイス料なのだ。これらすべて、国民の汗の結晶で支払われことになるのだ。
そして新生銀行が、初の増益にいたるまで、そごうやマイカル、ライフ、第一ホテル、ハザマ、ダイエー等の大企業に強硬な貸しはがしを迫って、次々と破綻に追い込んだ。旧長銀をハゲタカファンドに売り渡すように動いた自民党政治家も、今回の総選挙では、皆様のお役に立ちますと、元気に飛び回っていた。
次なる小泉構造改革の総仕上げ
いま足利銀行破綻のニュースが流れている一方で、ひっそりと新生銀行上場のニュースがながれた。大手マスコミのほとんどは、このニュースを大々的に報道していない。足利銀行に対して商法で認められている「税効果会計」を無視して債務超過に強引に持ち込んだ中央青山監査法人の残酷なやり方は、おそらく竹中金融大臣の意向に従ったものにちがいない。
アメリカが小泉首相に要求しているのは、銀行については国有化することで、
M&Aを容易にすることである。足利銀行のように株主の株券を紙くずにしてから、国民の血税である公的資金によって身軽になってもらう。そして、やはりいつものパターンにしたがって、ロックフェラー系のハゲタカファンドに格安のバーゲンプライスで叩き売られるにちがいないのだ。
くそぉぉー
2003年5月19日、りそなに公的資金の注入が発表された直後、次のような噂が乱れ流れた。
「すでにりそなが外資に売り渡すというシナリオはできあがっている。日米で密約があるはずだ」
「公的資金できれいにした後、儲かる銀行にする役割は外資にまわすと政府は決めている」
これらの噂は、いままでの長銀の例を見ても的を獲ている。
確かに、この2003年の時点でも、いまだに外資系銀行で、日本の一般の個人顧客を抑えているところはひとつもないのだ。そんなこんなで小泉首相の足取りをよく調べてみると、2003年5月13日、小泉首相は、来日したシティグループのサンディ・ワイル会長と、いつのまにか会談していたのである。この会談を、大手メディアはほとんど報道せず、夕刊紙の「日刊ゲンダイ」だけが、次のような記事を載せている。記事の内容は、ベンジャミン・フルフォード氏の『ヤクザ・リセッション』から一部引用させていただく。
「小泉首相が、米金融最大手シティグループのワイル会長と会談したことで、金融界がざわついている。2週間後に発表される銀行や生保の決算がひどいだけに、『金融機関の大型買収話がテーマではないか』と持ちきりなのだ。会談後小泉首相は、『シティグループはこれまでに1万人以上の雇用を創出し、日本経済に刺激を与えている。これからも頑張ってくださいといった』と語った。財務省サイドが会談をセットし、小泉首相はワイル氏に“支援”をお願いしたようです。26日の銀行決算、そして30日の生保決算と続くスケジュールを加味すると、リップルウッドに買収された長銀のように、破綻予定の銀行を引き受けてもらう相談だったともっぱらの評判です」
この時点で政府は、おそらく、りそなやみずほなどの惨状を把握していたことはまちがいない。日米間で何らかの密約が交わされ、やがてそれが現実化してゆく可能性が高い。だとしたら、りそなに続いて、もしかしたらみずほや
UFJ等にも公的資金が注入され、いずれ、それらが売却されるという『いつものシナリオ』が展開される可能性だって、皆無とはいえない。
どうやら小泉と竹中、そして日銀、財務省、金融庁らの日本サイドは、もう自分たちでは到底日本経済を立て直せない、と決めかかっている可能性が高いのだ。そうなると日本の改革は、アメリカに「丸投げ」して、自分たち政治家だけの安泰をはかるという、腐敗した発展途上国等によくある政策を実行していることになる。
銀行がここまで破綻してしまった以上、おそらく郵貯もすでに相当追い込まれている可能性が高い。郵便貯金、簡保、年金を合わせて約500兆円あることになっているが、本当のところは政府にしかわからない。噂では、すでに内需拡大の財投資金として200兆円は消えてしまっているといわれている。
そこで考えられるのが、国民の最後の虎の子である郵貯までも、外資に売り渡してしまうストーリーである。アメリカは、国際金融財閥らの考えであるソーシャル・ダーウィニズムにしたがって、グローバリズム資本主義を実行しているに過ぎない。今この日本には、経済学者という肩書きを持った人間は大勢いるが、きちんとした経済理論を打ち立てる人間もいなければ、政府の経済政策を、まして日本の未来のために方向づけようとする国家戦略を持った人間もひとりもいない。
そうすると、小泉首相が今唱えている「2007郵貯完全民営化」こそが、もしかすると小泉改革の「改革完了」宣言になる可能性大ということになる。
つまり、小泉の郵貯民営化は、公的資金の投入で身軽にした後、例のごとく外資のハゲタカファンドに叩き売るための、いよいよ最後の総仕上げになる模様である。
《主な参考文献および記事》
(本記事をまとめるにあたり、次のような文献および記事を参照しました。ここに、それらを列記して、著者に感謝と敬意を表すると共に、読者の皆様の理解の手助けになることを願います。)
★ 『ヤクザ・リセッション』ベンジャミン・フルフォード(光文社2003年10月)
★ 新生銀、来年早々「1兆円上場」の野望を果たす
ZAKZAK 2003年11月29日号記事
( http://www.zakzak.co.jp/top/t-2003_11/1t2003112918.html
)
『終』
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