201X年に中国は分裂し民主化される
No.103【2007年7月11日】
■微妙な潮目を読み間違えた安倍内閣
どうにも安倍内閣の雲行きが怪しい。7月の大事なこの時期に、こんどは赤城徳彦新農相が、またもや架空事務所経費でマスコミに槍玉に挙げられている。自殺に追い込まれた前松岡利勝農相の流れとまったく同じパターンである。ということは、小泉前首相と違って、安倍晋三首相が国際金融勢力によって守られていないことになる。
小泉純一郎前首相は、ブッシュ政権から支持を見事に取り付けていたから、マスコミは彼の内閣のスタッフを追い込むことはしなかった。だからこそ郵政民営化という乱暴な改革が、見事過ぎるくらいに大成功を収めたのだ。私の目から見て、安倍晋三内閣は、やるべきことは相当にやっている。社会保険庁解体、国民投票法成立、公務員制度改革法成立、教育基本法改正等々を真摯にやり遂げてくれている。
おそらく民主党政権であったら、絶対に通っていなかったにちがいない。小泉純一郎前首相であっても、たぶん怪しいと思う。だから、安倍首相は日本民族としてやるべきことをキチンとやっていると思われる。ただ、それがワシントンから逆に警戒されてしまっている。ミーハーな小泉首相とちがって、安倍晋三氏は、日本民族としてまともな「東京裁判否定史観」を、本音のところでもっている。靖国参拝も本当はやりたいのだ。
そして安倍晋三氏の人気を支えてきた「拉致問題」にも、当然なこととして拘っているために、朝鮮総連を叩き、共産党系の労組が絡む社会保険庁や、年金問題を解決する流れを強引につくることで、もう一度人気を回復しようとした。ところが世界情勢の微妙な潮目を読み間違えて、アメリカから梯子を外されてしまったようである。その微妙な流れの変化に気づく感性を持っていないと、政治家というものは、一瞬の内に、その輝きを失ってしまうものなのかもしれない。
■「反日抑止戦略」を打ち出す胡錦濤政権
いま世界情勢は水面下で大きく変化している。イラクやイラン等の中東に於けるアメリカの覇権力が低下したために、米ドルの価値が下がり、原油取引がドルからユーロに再び移行し、米ドルを無視した動きが世界中に広がってきている。いまやブッシュ政権は、イラクや北朝鮮の核開発を武力で押さえ込むネオコンスタイルを、完全に方向転換してしまったようである。その証明としてネオコン派のボルトン前アメリカ国連大使が、「北朝鮮政策に関する限り、ブッシュ政権は終わった」と、米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルの中で一蹴している。
米ドルの衰退の証拠として、6月末にドイツのポツダムで行なわれたWTOの「ドーハラウンド」が事実上決裂した。つまり、先進国が主導してきた貿易体制が崩壊しつつあるということ。そして巷の噂では、国際金融勢力は、その拠点をニューヨークからアジアへ、東京や上海に移し始めているという。
そんな流れの中で、6カ国協議のアメリカ主席代表のクリストファー・ヒル国務次官補は、米国、中国、北朝鮮、韓国の4カ国と組んで、朝鮮半島の新しい恒久平和体制を協議する会合を開こうと、動きはじめている。これは日本が主張している「拉致問題」からの敵前逃亡ともいえる行動である。その上米下院において、日系二世であるマイク・ホンダが主導した「慰安婦対日非難決議」が、賛成39、反対2で採択されたのだ。なんとも、やれやれである。
アメリカは、イランやベトナムや北朝鮮等の関係国との仲直りを、明らかに企みはじめたように見える。北朝鮮は、ウラン等の地下資源が豊富であるし、地政学から判断しても、ロシアや中国を包囲する上において、これほど都合のいい場所はない。北朝鮮の金正日さえうまくコントロールできれば、中国やロシアを、もちろん日本も核ミサイルで脅すことが可能となる。北朝鮮は、地政学的にアメリカにとって利用価値が相当高い。
そのことに中国は気づいているからこそ、最近の胡錦濤政権は、第17回共産党大会を前に、「反日抑止戦略」を打ち出す意向を明らかにして、江沢民政権とはうってかわって、盧溝橋事件や南京事件等に関する対日報道に、慎重な姿勢をみせている。アメリカにおいて、ネオコンのボルトン前アメリカ国連大使たちと現実主義派のライス国務長官たちの意見が真っ二つに対立しているように、中国においても、上海グループの江沢民派と北京グループの胡錦濤派との対立が、根深く存在している。
■アメリカの分裂が中国を混乱させている?
その対立が最近相当激しくなってきた副作用として、今まであまり中国の悪口を言わなかった民法TV局が、手のひらを返したように中国の悪口を報道するように変化する。毎日中国の食品や製品が粗悪でひどい等のTV報道のおかげで、最近スーパー等の食料品スペースで中国の食品が山積みにされる度合いが、かなり少なくなってきたように感じる。明らかにそれとわかる中国産食品を山積みにしても、もはや売れなくなってきたのかも。
確かにハイチとドミニカで起きた毒入り歯磨きで、100人死んだとか、ペットフードがアメリカで問題となり、4000匹の犬猫が死んだとか、シロップと称して毒物を混入させていたとか、パナマで3778名が風邪薬で死んだとか、北京市郊外にある国営遊園地で、ディズニー・キャラクターやドラえもんの著作権が侵害されている問題等が、毎日のように民法TV局から流れてくれば、消費者が中国産の食品を買う気がしなくなるのは、ある意味で自然な流れでもある。今までの、中国に対するアンタッチャブルな報道規制は、いったい何処にいってしまったのだろうか。
ここでも世界情勢の潮目が大きく変化してきているのだ。北朝鮮の核ミサイルと金正日を、アメリカが取りこんでしまうことで不都合なのは、決して中国やロシアだけではない。拉致問題を梃子にして首相になることが可能となった安倍内閣も、立つ瀬がなくなってしまう。そこでひとつ気になることは、安倍氏が初めて総理になって最初に訪問したのが、そう言えば、中国だったことである。
また訪中の際に打ち出された関係が、「戦略的互恵関係」という言葉で語られたことである。今から振り返ってみても、微妙に違和感のある表現である。北京派の胡錦濤国家主席とっては、上海派と憶測される北朝鮮の金正日と安倍首相が、万が一にも、国交正常化に向かって舵を切って欲しくないのである。平和ボケした日本と違って、安全保障に敏感な中国は、地政学的に、これほど危険なことはないと判断しているにちがいない。
そんな流れもあってか、中国社会科学院による歴史研究プロジェクトは、独自の調査によって、南京の虐殺は「5万人以上6万人以下」との結論に近づいているという。さらに30万人大虐殺を謳う「南京の大虐殺博物館」を、今春以降閉鎖されるという話も出てきている。
■安倍内閣は沈没してしまう?
とは言え、これらの動きはワシントンにとっておもしろくない流れである。安倍晋三内閣が、民法TV局によって次々と槍玉に挙げられるのは、そんなところに原因があるのかもしれない。あるいは社会保険庁が解体して日本年金機構に生まれ変わるのはいいとしても、もしかしたら年金積立金の運用が、国際金融勢力の好き勝手にできるプランになっていないのかもしれない。
親米ポチの小泉・竹中コンビの郵政民営化の流れとちがって、国際金融資本が安倍内閣を警戒しているとも考えられる。だとしたら今回の参院選で、かつての橋本内閣のように、安倍内閣も相当苦戦する流れとなる。その一方でマカオの金融機関バンコ・デルタ・アジア(BDA)で凍結されていた北朝鮮の送金問題が、アメリカと北朝鮮が全面返還で合意してから、まる3ヶ月近くも決着しなかった流れがある。
ようするに訪中回数が700回以上という親中派の元ゴールドマン・サックスのポールソン財務長官と元FRB議長という米国内の激しい対立が、北朝鮮ばかりか、そのまま中国の血みどろの分裂となって飛び火していると思われる。私が直感するに、米国内のネオコンと現実派の分裂の消耗戦が、アメリカをとことん弱体化させ究極のエントロピーとなって、201X年頃に中国共産党政権を、三つか四つぐらいの民主国家に、空中分解させるにちがいない。
《主な参考文献および記事》
(本記事をまとめるにあたり、次のような文献および記事を参照しました。ここに、それらを列記して、著者に感謝と敬意を表すると共に、読者の皆様の理解の手助けになることを願います。)
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混乱続く世界情勢のなか、真っ先に沈没する日本の現状
( 7/6
) 行政調査新聞社 社主 松本州弘 埼玉県川越市
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支持率と議席
やっぱり関連 過去3回を分析
(貼り付け開始)
年金記録不備問題や久間章生防衛相の辞任に続き、赤城徳彦農相の不透明な事務所費問題も発覚し、苦境に立たされる安倍晋三首相。過去三回の参院選前の内閣支持率と獲得議席の関係を見ると、首相にとって厳しい「法則」が浮かび上がってくる。
(大杉はるか)
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98年
橋本龍太郎首相の時に行われた一九九八年の参院選。投票一カ月ほど前の支持率は35%で、橋本内閣として最悪を更新していた。消費税率引き上げなどによる国民負担急増で景気が失速。「経済失政」と評された。自民党の獲得議席は惨敗の四十四。橋本首相は過半数割れの責任を取り、退陣した。
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01年
二〇〇一年の参院選は、小泉純一郎首相の就任直後の国政選挙だった。国民の圧倒的人気を背に、投票前日の支持率は72%と記録的な高さ。自民党は単独で改選議席の過半数を上回る六十四を獲得して圧勝した。
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04年
小泉首相にとって二回目となった〇四年の参院選。年金保険料の未納問題や自衛隊のイラク派遣に国民の批判が集まり、投票二日前の支持率は44・4%で、小泉内閣としては低迷期にあった。自民党の獲得議席は、改選議席を割る四十九にとどまり、五十議席の民主党に敗れた。与党で過半数を確保したものの、当時、党幹事長だった安倍首相は責任を取る形で、九月に幹事長代理へ「降格」した。
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07年
安倍内閣の場合、昨年九月の発足時に65%だった支持率は、直近で33・5%まで急降下。三年前の小泉内閣を下回り、橋本内閣と同水準で、二十九日投票の参院選での苦戦は必至だ。首相は国民の信頼回復を目指し、一カ月以上も前から、毎週のように全国各地を遊説中。年金問題への政府対応を説明して回っている。残された時間で風向きが変わるかどうか。
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(貼り付け終了)
『終』
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